横浜F・マリノスがこれまでのJリーグにおけるポゼッションサッカーとは一線を画す戦いで優勝を決めた。今季の平均ボール保持率はリーグ最高の61%(速報値)。相手を下回った試合は1度もなかった。Jリーグが発表するトラッキングデータの走行距離とスプリント数もリーグ1位。人もボールも良く動くアタッキングフットボールで他を圧倒した。

ポステコグルー監督の下、パスをつなぎながらチーム全員が全力疾走を繰り返し、リーグ最多68得点。昨季まで2連覇の川崎Fもボールを保持し続けるスタイルで最多得点での優勝を達成したが、一方のトラッキングデータはリーグ最低レベル。同じ攻撃サッカーでもその違いは一目瞭然だ。

攻撃は最大の防御と言うが、守備戦術は実に緻密。ハイライン、ハイプレスを徹底し、奪ったオフサイド数はリーグ最多200回。2番目に多かった名古屋の88回を大きく上回った。最近5年の優勝チームと比べても突出。敵陣で試合を進め続けることでDFとGKの間には危険なスペースができたが、いわゆる「オフサイドトラップ」を仕掛けることで相手の逆襲に対処。失点を最小限に抑えた。

結果、簡単に裏を狙われるケースが目立った昨季の56失点から38失点に減少。鋭いカウンターが武器の東京を直接対決で退け、J1を制した。【石川秀和】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「データが語る」)

MF喜田がシャーレを掲げ、15年ぶりの優勝をサポーターと一緒に喜ぶ横浜イレブン(撮影・横山健太)
MF喜田がシャーレを掲げ、15年ぶりの優勝をサポーターと一緒に喜ぶ横浜イレブン(撮影・横山健太)