今季の欧州チャンピオンズリーグ(CL)はベスト8が出そろいましたが、そこにバルセロナの名はありませんでした。CL2006-07シーズン以来14季ぶりにラウンド16で姿を消しました。ジョアン・ラポルタ氏の会長再選により再建を目指したいところですが、現地の報道によると負債が11億7300万ユーロ(約1475億円)まで膨れ上がっているとされています。特に短期的な話でいけば、今年6月末までに各銀行に対して2億6600万ユーロ(約335億円)を返済する必要がある様子。さらに今年中には合計で4億2000万ユーロ(約528億円)の返済が必要となるとも報道されています。現在は返済を遅らせてもらうよう交渉しているとありますが、債務超過状態は簡単に解決できるレベルではないことが露呈しました。

こういう状況を一気にひっくり返す技が、価値のある選手の売却ということになりますが、当然売ることで戦力ダウンというリスクが存在します。無観客による収入減が主な原因ではありますが、今日の状況を考えても、バルセロナの宝でもあるリオネル・メッシの売却は当然の路線とされていたものの、先日、ラポルタ氏はメッシに対してクラブに残るように交渉すると公言。ラポルタ氏の発言は、現状、クラブがやらなければならない事と正反対の方向のような気がしますが、どう落としどころを見つけるのか。とにかく無観客さえ脱することができれば、また何か違った形での債権処理方法が見いだせる気がします。

その無観客がそろそろ解除されるのではという部分で、ひともうけを企てているとうわさされるのが、対抗馬のレアル・マドリードです。つい先日表面化しましたが、クリスティアーノ・ロナウド復帰のうわさです。今季のユベントスはヨーロッパ王座の獲得をもくろんではいましたが、ポルトに敗れまさかのラウンド16で敗退。敗退翌日の現地では「7億2700万ユーロ(約945億円)の悪夢」と報じられました。その戦犯とされているロナウドに早速レアル復帰の報道が出ました。ロナウド自身は、移籍金1億1700万ユーロ(約153億円)とも言われる巨額な移籍金でユベントスに移籍しましたが、この時点でレアル・マドリードは約30億円強のプラスだったとされました。


レアルがマンチェスターUから獲得した当時の金額:9400万ユーロ(約123億円)

レアルがユベントスへ売却した時の金額:1億1700万ユーロ(約153億円)


当然レアル側の視点からすれば、この9年間で支払った給与(360億円前後とされている)もコストとすべきですが、在籍中の4度のCL制覇による賞金収入やグッズの売れ行きを考えれば十分に元は取れていると見ていいと思います。


当然ユベントス側は150億円超をつぎ込んでいることから、少しでもこの多額債務をうまく処理したいところですが、ロナウド側がクラブを出るとなれば止めることは簡単ではない気もします。

そしてレアルは、基本的には移籍金を支払って獲得した選手に関しては、売却益が見込めなくなることから自クラブでの引退はさせない方針があるとされてはいます。36歳という年齢で、現役選手としての残り期間は決して長いものではありません。一度自ら出ていった選手を改めて獲得するという歴史的な動きを見せているということになるわけです。ロナウドがユベントスとの契約が終わる2022年を狙って移籍金ゼロで獲得するようなことがあれば、そしてロナウドがシーズン前に公式に引退を宣言するような事があれば、引退ビジネスでひともうけできます。2022年夏以降を予定している本拠地サンティアゴ・ベルナベウのリニューアルも待っています。

ここから先は夢物語ですが、ロナウド信者とされるパリ・サンジェルマン所属のエムバペを獲得しての共演こそ、ペレス会長の狙うひともうけなのかもしれません。【酒井浩之】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「フットボール金融論」)