アルベル監督(53)のもとで新たなシーズンを歩み出したFC東京が12日、ようやくホーム開幕戦でサンフレッチェ広島と対戦する。チーム内での新型コロナウイルスの感染拡大で試合が延期となり、待望の味スタ。指揮官は「選手が表現する質の高いエンターテインメントを楽しんでほしい」と力強く語った。

昨季まで約4シーズンを率いた長谷川健太前監督が掲げた堅守速攻から、大きく戦術を転換。アルベル監督が「ポジショナルサッカー」と表現するボールを保持して試合を支配することを目指す。

高卒新人ながらインサイドハーフでスタメンを勝ち取っているMF松木玖生(18)だけが注目ではない。右SBには前線が主戦場のMF渡辺凌磨(25)が入る。「私が若い頃というのは、SBは1番下手な選手がプレーするポジションだった。しかしモダンなサッカーでは、戦術的に多くの役割を担う重要なポジション」。指揮官はそう話す。粘り強い守備が魅力のDF中村帆高(24)らスタメンでもおかしくない選手がそろうが、足元の技術が高くスピードもある、そうした選手をSBに置くのもアルベル監督らしさ。日本代表DF長友佑都(35)でさえも、スタメン奪取は簡単ではない。

改革元年でまだまだ戦術の成熟度は低いと指揮官も認める。その中でコロナによる活動停止もあった。それでも、試合になれば大きく押し込み、次々とチャンスを作る展開も。アルベル監督が胸を張れるスタイルができあがったとき、どれだけ勝ち点を積み上げるのかという期待感がある。「辛抱強く見守ってほしい」と指揮官。悲願のJリーグ初優勝を目指す首都クラブにあって何年もの猶予はないだろうが、ハマれば止まらなくなりそうな、これまでになかった雰囲気がすでに漂っている。【岡崎悠利】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「サッカー現場発」)