日本サッカー協会(JFA)は15日、都内でW杯北中米大会に臨む日本代表メンバー26人を発表した。チームを率いる森保一監督(57)は、直前で負傷したMF三笘薫(28=ブライトン)ら複数の常連組を外さざるを得ない中、「凡事徹底」で世界一に挑む。不変と進化-。一見相反する2つのテーマを軸に、総合力を示して2期8年の集大成を世界にぶつける。
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森保監督の目がかすかに潤んだ。メンバー26人の名前を読み上げ「選べたのは26人。多くの選手を選べなかった。感情の部分で少しコントロールできないところが出てくるかな」。22年W杯カタール大会後の第2期に呼んだのは89人。選外の63人に思いをはせた瞬間だった。
第2期で日本の攻撃を引っ張ってきたMF三笘が直近のリーグ戦で負傷。「大会期間中の復帰が難しい」と選外に。左膝前十字靱帯(じんたい)断裂を負ったMF南野も間に合わなかった。DF町田も含め、過去7大会でここまで主軸を欠いて臨んだことはなかった。指揮官は「今のベスト」。そう繰り返した。
大舞台の開幕は約1カ月後に迫る。秘策はない。チームは前進するしかない。
「W杯は特別な舞台ですけど、でも特別な舞台だから何をするというわけではなく、これまでやってきたプロセスがあって、その先にW杯がある。凡事徹底という言葉を選手やスタッフと何度も共有して、ここまで来た。今できることをしっかりとやって、最善の準備をして全力を出し切るということを1戦1戦、これまで通りやっていきたい」
目の前のことにコツコツ取り組む姿勢は昔から変わらない。高卒で入ったマツダ(現広島)時代を知るOBの河内勝幸さんは「当時から、今できることに全力だった。当たり前のことを当たり前にやり続けられた」。まさに「凡事徹底」で同期6人中、最低評価を覆し、日本代表まで上りつめた生きざま、そして自身の信条がチームに息づく。
22年W杯カタール大会でドイツ、スペインを連破。その後も緻密(ちみつ)な組織を構築し、第2期ではブラジルやイングランドを撃破するなど、確かな成長を遂げた。攻撃のバリエーション、守備の強化、あらゆる面で1歩ずつ進化し、本大会までたどり着いた。 「想定外も想定内」。よく指揮官が口にする言葉だ。どんな状況にも対応していくのが森保ジャパンのスタイルだ。「(優勝の)目標に変わりはない。万全の準備で自信をもって、勇気をもって挑みたい。総合力で勝っていくところを皆さんにみていただければ」。「最高の景色」を見るために、覚悟は決まった。【佐藤成】

