5月の女子初の国際大会で得点王となり日本を優勝に導いたFP菊島宙(そら、15)擁する埼玉T.Wingsが準優勝に終わった。

 男性選手にマークされる中、唯一女性の菊島は果敢に攻め続けた。体格差から何度も転倒して、途中、左足を負傷したが、前後半の計40分走り続けた。決勝の緊張からか、持ち味の縦のドリブルからシュートまでの場面は少なく不完全燃焼に終わった。前半12分の黒田智成(38)のFKが決勝点となった。「悔しいの一言です。先制点を取られて焦りもあった。体格差はあるけど、そこはどうにかしないといけない。黒田先生には勝てない。中学生相手に大人げない!!」と悔しさを爆発させた。

 小4の時、日本代表の黒田に誘われて、同競技を始めた。黒田が勤務する東京・八王子盲学校に定期的に通い、恩師でもあった。「黒田先生の技術を早く盗みたい」と菊島は常々言う。

 決勝点を決めて大会MVPに選出された黒田も“天才菊島”をこう評価する。「ブラサカらしくない、ワンタッチでのボールさばきはまねできない。体格差やルールなどの問題はあるが、男子でも通用する技術がある」。この日も左CKから菊島がダイレクトでシュートを放つ場面があり、会場も盛り上がった。「あんなことは出来ない」と黒田も脱帽した。

 菊島は言う。「来年こそ、絶対に黒田先生に勝ちます」。15歳の天才中学生が、恩師でありライバルでもある黒田に挑戦状をたたきつけた。