青森山田の日本一戦士が全国制覇を目指す仙台大を引っ張る。東北地区大学リーグで12連覇中の仙台大トップチームの新主将に、青森山田出身で新3年生のMF嵯峨理久(20)が就任することが決まった。嵯峨は17年の全国高校選手権で、同校初の優勝に貢献。頂点を知る男が、初の大学日本一に向けチームを引っ張る。

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輝かしい経歴とは対照的に、素朴で愚直な東北人が背中でチームを引っ張る。新主将に選出された嵯峨は、「主将は小学生低学年で少しだけやったぐらい。(新)4年生がすごく明るく向き合ってくれるので助かります。先頭に立ってやっていきたいです」と控えめに決意を口にした。

一昨年1月の全国高校選手権では青森山田の8番を背負い、右サイドのMFとして躍動した。山形MF高橋壱晟(20)、山口GK広末陸(20)らとともに中心選手として初優勝に貢献。仙台大でも1年時から主力を担ってきた。上下級生のコミュニケーションを円滑に図る狙いもあり、昨年から3年生に主将を任せるようになった。吉井秀邦監督(45)は「非常に真面目でプレーでも人間としてもウチを代表する選手。先輩にも後輩にも意見を言えるにふさわしい存在」と嵯峨を高く評価する。昨季主将を務め今季は総主将となる新4年のDF藤岡優也(21)も「声で引っ張るよりプレーで見せる選手。細かいことは4年生がフォローして、嵯峨には100%自分のプレーを出せるようにしてあげたい」とバックアップを約束した。

昨夏の総理大臣杯は2回戦で駒大に延長戦惜敗、12月全日本大学選手権でも2回戦で筑波大に1-4と完敗した。筑波大戦では自らのゴールで一矢報いたとはいえ、関東の強豪との実力差を痛感した。「全国では2回戦が壁になっているんで何とか越えたい。個々のレベル、勝負強さを上げないと」と雪辱に燃えている。個人としての目標はもちろんプロだ。先月のJ3八戸との練習試合でも2得点と、着実に成長している。今年の選手権で優勝した後輩で、J1札幌入りしたMF檀崎竜孔(18)は、選手権の決勝で自身と交代出場した縁もあり、特に刺激を受けている。「将来同じ舞台に立てるよう頑張りたい」。167センチの小さな大黒柱が仙台大を全国の強豪へ、のし上げていく。【野上伸悟】

 

◆嵯峨理久(さが・りく) 1998年(平10)5月27日生まれ、青森県上北郡おいらせ町出身。秋田・天王小1年からサッカーを始め、青森に戻った小5からヴァンラーレ八戸U-12、ウインズFCU-15でプレーしU-15日本代表候補。青森山田では2年時に全国選手権4強、3年時には高円宮U-18プレミアLチャンピオンシップと全国選手権で優勝。前橋育英との決勝では2点目のゴール。仙台大でU-19全日本大学選抜EAST、2年時にデンソーチャレンジ北海道・東北選抜。167センチ、60キロ。