J2アルビレックス新潟はオフが明けた24日、第34節水戸ホーリーホック戦(28日・デンカビッグスワンスタジアム)に向けた練習を聖籠町のクラブハウス専用練習場で行った。

DF早川史哉(25)が急性白血病から復帰後の初出場を狙っている。

ラグビーW杯日本代表で、親交のあるプロップ稲垣啓太(29=新潟市出身)から刺激を受けた。

新潟は現在13位とJ1昇格に1つも負けられない状況。稲垣の奮闘を手本にチームをけん引する。

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自然と気合が入った。ハーフコートで行った7対7の試合形式。攻守の切り替えが早い展開の中、早川はしつこい守備でボールを奪うと、すぐに前線に運んだ。「サイドバックで出場を狙うのなら点につながるプレーをしないと」。10分を3本連続。1本終わるごとに肩で息をしながらも、足をほとんど止めずに走り切った。

20日のラグビーW杯1次リーグの日本-ロシア戦をテレビ観戦した。「ガキさん(稲垣)を探しながら見た」。スクラムの第1列で踏ん張り、攻守に体を張り続けて勝利に貢献した稲垣に感動した。「闘っていた。あの体(186センチ、116キロ)なのにすごく動ける」。ファンの目で応援し、アスリートの視点で観察。「こっちも頑張ろうと思う」とエネルギーももらった。

稲垣とはSNSを通じて知り合い、交流を続けている。今年のシーズン開幕前に新潟市内で食事をした。少年時代からお互いの存在は知っていた。早川が新潟U-15、稲垣が新潟工に在籍していた当時、新潟市のスポーツ表彰などでたびだび同席した。ただ、面と向かって話したのはこの時が初めてだった。

「コンディションの整え方、日本代表としての心構えなどを聞いた。ストイックな人」。早川は16年に急性白血病を発病し、治療に集中しながら第28節岡山戦(8月17日)で3年4カ月ぶりにベンチ入りを果たした。稲垣のひた向きに目標に向かう姿勢に共感し、励まされた。

岡山戦から6試合連続でベンチ登録され、出場のチャンスをうかがってきた。体重は開幕当初の69キロから2キロ減って67キロ。体脂肪も11%から9%に。鍛えるうちに自然と引き締まった。「練習中も少し無理できるようになった」と体調はいい。「守備的な選手なので途中出場は場面が限られる。スタメンを狙いたい」と堂々とアピールする。

稲垣とはあえて連絡を取っていない。「W杯が終わってから会うつもり」。28日、日本は優勝候補のアイルランドと対戦する。新潟はホームで水戸戦。「同じ日に試合に出られていればうれしい」。16年3月27日のルヴァン杯予選鳥栖戦以来の公式戦出場を果たすことで、稲垣と気持ちともにする。【斎藤慎一郎】