初タイトルを目指したサガン鳥栖だったが、完封負けで6大会ぶり2度目の4強入りを逃した。大雨の影響で芝に水が浮き、生命線のパスでミスを連発した。逆に前半15分、清水エスパルスの個人技を生かしたショートカウンターからあっさり先制を許した。

打開策として、後半スタートから攻守の安定を図るためMF福田晃斗(27)を投入、途中からはさらにFW豊田陽平(34)も入れ、前線の攻撃の起点にした。だが後半40分、FW金崎夢生(30)が警告2枚目で退場。追い上げムードに水を差し、金明輝監督(38)は「彼には冷静にプレーしてもらいたいところがある。1人少なくなると痛手になる」と苦言を呈した。

清水はこの日、リーグ戦と変わらないベストメンバーで臨んできた。鳥栖は、6月30日にホームで行われたリーグ戦でFWフェルナンドトーレスの2発など4-2で快勝しており、相性は悪くはなかった。だが指揮官が「もう力負け。選手は勇気を持ってやったと思うが、簡単にチャンスを与えたのが残念」と嘆く完敗だった。DF高橋秀人(32)は「自分たちの実力を真摯(しんし)に受けとめるべき。簡単に(ゴールを)決められるようでは、残留争いで結果が出せない」と、J1で15位の厳しい現状にも危機感を募らせた。

ゴール裏にはこの日も、「被災された方々へ勇気を。共に乗り越えよう、今を。」という横断幕が掲げられた。今夏、佐賀県を襲った豪雨被災地の復興を願う願いも胸に走り抜いた。結果はついてこなかったが、「次へ下を向いている場合じゃない」と指揮官。背負うものの重みをも感じ取り、前に進むしかない。