「ワンダーガール」が、スタジアムの空気を一変させた。0-0の後半19分に途中投入されたアルビレックス新潟レディースのFW田中聖愛(18)は登場からわずか7分後、同時投入されたMF石田千尋(22)からハーフウエーライン左付近でパスを受けるとドリブルを開始。浦和レッズ、アルビレックス新潟で活躍した元日本代表FWの「ワンダーボーイ」、父田中達也氏(41=現新潟コーチ)をほうふつとさせる弾丸突破で敵陣を風のように切り裂く。
「同点でゴールが必要な状況だったので、自分のところで打開して前を向こうと思っていました。(ボールを受けた瞬間)あそこ(前のスペース)は狙っていましたし、ドリブルでゴールにつながるプレーは意識していました。スピードはすごく自信があるので、スピード勝負に持って行くことを考え、流れに乗れました」
観客のどよめきとともにグングン加速。相手のプレスバックを無力化にする爆速ドリブルで進んだ距離は約50メートル。ペナルティーエリア内に進入してからは「あえて」1度、減速。相手のセンターバックをつり出すと「昔から得意」という高速シザースで再び急加速してエンドラインぎりぎりをえぐり、最後は同期入団のMF下吉優衣(18)のプロ初ゴールとなる決勝点をアシストした。
「ドリブル中は(歓声が)全然聞こえなくて。ゴールが入った瞬間、そこでやっと外の歓声の声が聞こえた。すごい歓声が上がって、もう、鳥肌ものでした。終わってからも何か震えが止まらなくて。本当にチームの勝利に貢献できたな、っていうのはすごいうれしいです」
鮮やかなドリブル突破からの決勝アシストでチームの今季勝利に貢献。試合後は、スタンドで観戦した家族に手を振った。「家に帰ったら父とまた試合を振り返ると思います。目標にしている父に近づけるように頑張ります。あまり褒めてくれないですが、今日は褒めてくれるかなぁ…」と照れくさそうに笑った。【小林忠】



