マンチェスター・ユナイテッドの主力として8度のプレミアリーグ優勝、2度の欧州チャンピオンズリーグ(CL)制覇などを成し遂げた元イングランド代表DFガリー・ネビル氏(47)が英スカイスポーツのポッドキャスト番組に出演。カタールでワールドカップ(W杯)を開催することに対する批判について「アンフェアだ」と主張した。
カタールでのW杯開催が決定して以来、暑さの問題や移民労働者の労働条件についてなど、主に欧州の国々から批判の声が上がり続けてきた。
そのためW杯の日程は通常の夏ではなく、11~12月に変更された。労働条件についてもW杯組織委員会が設定した高い基準や、労働者の権利に関する幅広い法改正により、大きく改善されてきた。それでもカタールへの批判の声はなくなっていない。
ネビル氏は冬に開催されるW杯について「(むしろ)20年~24年おきに冬にW杯を開催しなければならない」と強調。「アメリカ、オーストラリア、アジア、アフリカ、ヨーロッパ。すべての大陸でW杯を開催すべきだし、その原則を受け入れるべき。中東でやるとなれば、冬に開催するのは当然だ」と主張した。
さらに現地の労働環境については「カタールということで言えば、労働者の権利はここ5~10年でかなり改善されている。パスポートを取り上げられることもないし、転職もできるようになった」と説明した。
イングランド代表FWケーンがカタールでの労働者の人権問題に懸念を示したことを受け「彼は昨年夏、望んでマンチェスター・シティーでプレーしようとした。カタールと同様の問題を指摘されているアブダビ(UAE)が保有しているクラブなのに」と皮肉った。
筆者もネビル氏の意見に賛成だし、カタールや中東、アラブ世界について疑問がある人々には、実際に現地を旅してほしいと思う。
筆者は昨年10月に取材でドーハを訪れた。日本以上にシステマティックに新型コロナウイルスをコントロールする体制が整えられ、夜間に普通に1人で出歩くことができるほど治安も良い。食事もヘルシーで美味だった。
そしてサッカーに関していえば、W杯で使用されるスタジアムがまず素晴らしい。デザインに中東のエッセンスがふんだんに盛り込まれ、暑さの中でも選手が快適にプレーできるような最新鋭の空調システムがピッチレベルにも設置されていた。
素晴らしい点はいくつもあるが、一方でこれらのことは実際にカタールに行ってみなければ分からないことでもある。
サッカーだけに限らず、例えば我々にあまりなじみのないイスラム文化についても、実際に現地で触れてみると非常に興味深い。イスラム文化を少しでも知ることは、彼らのことを理解するための最初の一歩にもなるだろう。現地で過ごしていると、男性が着用しているトーブと呼ばれるあの白い衣装も格好良く見えてくるから不思議だ。
世界中からやってくるファンに対し、その地域の文化や生活などに触れる機会を与えてくれるのがW杯。そういう意味でも中東で初めて開催されるW杯カタール大会はとても意義深いものなのだ。
【千葉修宏】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「海外サッカーよもやま話」)


