元日本代表コーチの小倉勉監督(58)率いるシンガポール代表(FIFAランキング161位)が、東京ヴェルディとトレーニングマッチを行った。35分×3本で2-1と勝利した。
同国代表はワールドカップ(W杯)北中米大会アジア2次予選で敗退し、最終予選へ進めず。現在は12月の東南アジア選手権に向けて準備を進める中、日本遠征を実施した。
FC東京戦に続く2戦目。小倉監督は昨季まで東京Vのヘッドコーチを務めており、古巣との対戦となった。シンガポールは国家プロジェクトとしてサッカーの水準向上を推進しており、同国の法定機関「スポーツシンガポール(SportsSG)」は東京Vと今年6月に覚書を締結している。シンガポールからコーチ2名を研修として東京Vのトップチームに受け入れてもらうなど人的交流をはじめ、クラブ側と協力関係を結んでいる。
小倉監督は「こういう環境でやらせてもらえるとすごくありがたい経験で、選手だけでなくてスタッフ、コーチらにも、日本でやれるこういう環境を体験してもらいたかったというのが一番。もう1試合(14日に横浜F・マリノス戦)あるので、それをやり遂げて帰ろうかなと思います」。
チームはロングボールを蹴らず、GKから足もとで丁寧につないでいくスタイル。東京Vの強度の高い守備をかいくぐり、背後のスペースが見えたタイミングで両ワイドの選手を縦に走らせる速いサッカーを披露した。
そのシンガポール代表には、2本目の途中から日本人MFが出場した。仲村京雅(28=タンピネス・ローバーズ)。ジェフユナイテッド千葉出身で、シンガポールリーグでプレーして5年目。同国の国籍取得が間近となっており、12月の東南アジア選手権に向けて代表入り。背番号7を付けてボランチとしてプレーした。166センチと小柄ながら左足を駆使したテンポのいい長短のパスと激しいボール奪取を見せた。
まだ所属クラブと代表チームでの違いに戸惑いがあるというが、「自分は走れる選手なので、そこをうまくチームに溶け込ませながらやっていけたらいい。僕はどちらかと言うとパサーですけど、トップ下のポジションで出た時は裏への走りでチームのスペースを作ったり、押し上げたりするというのも大事な役割になる。両方できたらチームにはプラスになるので、ポジティブに今は取り組んでいます」と意欲的に話した。
その仲村について、小倉監督は「日本人で特別なものをもたらすから(チームに)入れたわけでなく、シンガポール人になったというだけで、もう他の選手とまったく変わりなく扱います」と説明した。
親日国のシンガポールは小倉監督以前にも吉田達磨氏、西ケ谷隆之氏が務めている。そこへ選手として今度は仲村も加わった。経済発展が目覚ましく、さまざまな分野で成長一途にある。スポーツの分野でも多くの可能性をはらんでいる。今回の日本遠征を経てシンガポールの動向が注目されそうだ。

