“ヘッドバンド侍”で世界を斬る。陸上の世界リレー大会に挑む男子400メートルリレー日本代表は開幕前日の10日、会場となる横浜・日産スタジアムで最終調整。

新たに頭に黒のヘッドバンドを巻き、決戦に備えた。提案したのは山県亮太(26=セイコー)で、10位以内で今秋の世界選手権(ドーハ)の出場権を獲得できる本番でも着用する模様。11日の予選は米国、カナダ、中国などと同じ厳しい組に入ったが、新たな“武装”も力に激走する。

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リレー侍が新アイテムを武装する!? 予選に挑む第1走者から多田修平、山県、小池祐貴、桐生祥秀は会場でバトンパスを入念に確認した。その4人の頭には見慣れない黒のヘッドバンドが…。練習を終え、トラックを離れる時にも海外メディアなどのリクエストに侍ポーズ。その時も団結を象徴するようにそろって、ヘッドバンドは頭に巻いたまま。今回は第1走者が定位置だった山県が第2走者、第3走者で力を発揮していた桐生がアンカーになる。走順だけでなく、新スタイルも模索するようだ。

発案したのは山県。飯塚翔太(27=ミズノ)が急性虫垂炎のため、本調子ではなく、男子400メートル出場候補メンバーの中では最年長26歳とリーダーの立場を担う。山県は「お楽しみ」と笑いながら、経緯を説明。同部屋だった桐生との会話の中で「ヘアバンドをやりたいね」となり「他のメンバーもノってくれた」という。先週の木南道孝記念でヘッドバンドがトレードマークの米国代表の常連マイケル・ロジャーズを見て「かっこいい」と感じた。明るいムードの中に、チームを引っ張る自覚がにじむ。

予選も決して楽ではない。強豪米国、リオ五輪男子200メートル銀メダルのアンドレ・デグラッセらを擁する同五輪銅メダルのカナダ、9秒台ランナー2人を擁する中国と同組。決勝進出には組2着以上か、決勝進出を逃した全3組の中でタイム上位2チームに入る必要がある。今大会はホームの声援と独特の緊張感の中、強豪と戦える1年後の大舞台への予行演習。山県は「2020年東京五輪へいいスタートを切りたい」。侍の力を示し、弾みを付ける。【上田悠太】

◆世界リレー大会 国際陸連が主催するリレー種目限定の世界大会。14年に初開催。15年の第2回から2年に1度となり、17年の第3回までバハマ・ナッソーで開催された。15年大会の男子400メートルリレーで、日本(大瀬戸、藤光、桐生、谷口)が銅メダルを獲得。今大会は男女400メートルリレーと1600メートルリレーは10位以内、混合1600メートルリレーは12位以内で世界選手権の出場権が得られる。