チームメートの金メダルに触発され、さらなる高みを目指す。20年東京五輪の男子マラソン代表中村匠吾(27=富士通)が12日、千葉市内で練習を公開した。

同じ富士通の鈴木雄介(31)が今秋の世界選手権男子50キロ競歩を制した。レースはテレビで生観戦していたという中村は「まだ僕自身もオリンピックに内定した段階。世界陸上の金メダリストがチーム内にいるのは刺激になる。もっともっと上を目指したい気持ちに駆られた」。まだ代表になっただけ。競技は違えど、世界一を身近に感じ、世界で戦うモチベーションを高めた。鈴木は入念な暑さ対策をしていただけに「どの競技においても準備はすごく大切なんだとあらためて気付かされた」と言った。

汗の量が少ない体質で、ゴール時は気温28・8度だった五輪代表選考会マラソン・グランドチャンピオンシップを制するなど暑さには絶対の自信を持つ。それだけに五輪の開催地が東京から札幌に移ったのは残念な部分もあったが、「気持ちを切り替えてやっていくだけ」と強調。その上で「気温が上がってくれた方がプラスになる」と望んだ。まだコースが決まっていない状況には本音も吐露。「正直、選手としてはできるだけ早くコースを決めていただきたい。平たんなのか上りなのかで、対策も変わってくる」と話した。

チームは元日の全日本実業団対抗駅伝出場を逃し、次走は未定。五輪までフルマラソンは走らず、この冬はハーフマラソンかロードレースに出場する見込みという。【上田悠太】

◆中村匠吾(なかむら・しょうご)1992年(平4)9月16日、三重県四日市市生まれ。上野工(現伊賀白鳳)から駒大へ。箱根駅伝では2年時から順に、3区区間3位、1区区間2位、1区区間賞。15年4月に富士通に入社し、初マラソンだった18年びわ湖毎日では日本人トップの7位、18年ベルリンでは2時間8分16秒の自己記録。好きな食べ物は焼き肉、すし。173センチ、55キロ。