熱狂的なファンの声援が、栃木ブレックスのファイナル進出を後押しした。この日の第2戦を落として1勝1敗となり、続けて行われた第3戦(5分ハーフ)の残り20秒。12-12でボールを保持していたシーホース三河の判断を狂わせ、最後のライアン・ロシターの決勝シュートにつなげた。勝った栃木は、27日に国立代々木競技場で川崎とのファイナルに臨む。

 日本一といわれる栃木ファンの大声援が奇跡を起こした。10-12とリードされた第3試合後半残り20秒、遠藤のシュートで同点。ここで三河にキープされれば延長へ。得点を許せば敗戦となる状況で、三河が攻め急ぎ、最後のチャンスが栃木に巡ってきた。

 田臥が強引にゴールへ突っ込み反則を誘う。残り5・9秒。タイムアウトの作戦通りロシターにボールをつなぎ、残り2秒で決勝シュートが生まれた。勝負の終盤、栃木に勇気を与え、三河の選手の判断を狂わせたのは、絶え間なく続く栃木ファンの大声援だった。試合を観戦したBリーグの大河チェアマンは「第3戦は半分ぐらいはファンのおかげだった」と、ファンの後押しを勝因に挙げた。

 準々決勝の千葉戦は主力外国人のイライラを誘い勝利。この日もベテランぞろいの強豪三河の判断ミスを誘発した。三河の鈴木ヘッドコーチも「(会場が)もうちょっと静かだったら、ボクの声が聞こえたと思う」と悔やんだ。地域密着でBリーグ元年に年間入場者数で初めて10万人を超えた栃木の努力が、大舞台で実を結んだ。「こうなってみると、ホームで戦えたことがどれだけ大きかったか」。田臥はしみじみと話していた。【桝田朗】

 ◆チャンピオンシップ 準決勝は2戦先勝方式。2試合目に1勝1敗となった場合は、2試合目の終了後に前後半5分ずつの第3戦を行い勝者を決める。27日の決勝は、一発勝負で行われる。優勝チームには賞金5000万円、準優勝は2000万円。