西島秀俊 周囲を引き立てながら「主役」 相手に安心感与える抜群の「受け」

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番記者裏話

相原斎


映画界最高の栄誉と言われる米アカデミー賞で、「ドライブ・マイ・カー」(濱口竜介監督)が作品、監督、脚色、国際長編映画の4部門にノミネートされました。作品、脚色賞のノミネートは日本映画では初めてです。

残念ながら俳優部門へのノミネートはありませんでしたが、西島秀俊(50)が主演を務めてこその作品評価であったことは間違いありません。

西島は昨年度の日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞で主演男優賞に選出されました。「主演俳優」の選考では、「あのシーンのあの演技が素晴らしかった」と選考委員から能動的な演技を評価する声が出るのが常なのですが、この人の場合は「周囲の俳優の個性を引き立てる力」を評価する声がほとんどでした。

自身の演技が際立つわけではありませんが、この人がスクリーンの真ん中にいるだけで、周りの俳優は不思議に活き活きと個性を発揮するのです。相手に安心感を与え、思いっきり演技をさせる「受け」が抜群にうまいということなのでしょう。

「ドライブ-」はもちろん、昨年公開の「劇場版 きのう何食べた?」(中江和仁監督)でも、目立つのは相方の内野聖陽(53)の方です。が、どちらが「主」かと言えば、やはり西島なのです。これまで演技賞にあまり縁が無かったのも、この目立たない「力」ゆえかもしれません。

放送中の主演ドラマ「真犯人フラグ」(日本テレビ系)では、まさに西島らしさが発揮されています。行方不明事件を巡る大騒動で、次々に現れる劇画チックなキャラクターにもまれながら西島演じる主人公は温厚に、真っすぐに真相に迫っていきます。カオスに道筋がつき、ドラマが成立しているのもその存在感ゆえだと思っています。西島の真骨頂でしょう。

米国の批評家たちがその「力」を見抜き、アカデミー賞の前哨戦といわれる全米批評家協会賞でアジア人初の主演男優賞に選んだのは出色の出来事だと思います。