「クロ現」を突き破る「クロ現」 桑子アナ起用だけじゃない!30年目のリニューアル

ストーリーズ

遠藤尚子

NHK報道番組「クローズアップ現代」(月~水曜午後7時30分)が、4月4日にリニューアルした。午後10時放送の「クローズアップ現代+(プラス)」から番組開始当初のタイトルに戻し、放送時間も6年ぶりにゴールデン帯となった。今春、放送30年の節目を迎えた「クロ現」が変えること、変えないこと。番組の統括プロデューサーを務める松本卓臣氏(49)、飯田健治氏(49)に話を聞いた。

統括プロデューサー松本卓臣氏、飯田健治氏に聞く

午後10時枠の落ち着いた雰囲気とは変わり、新しい「クロ現」は勢いや明るさを打ち出した印象だ。ビジュアル面や音楽、デジタル展開など番組の骨子は30代の若手スタッフが中心となって検討を進めたという。松本プロデューサー(以下、P)は「よく言えば“クロ現らしさ”みたいなものを突き破りたい。最終的には中身が大事だと思っていますが、7時半になるにあたって新しくなったなと少しでも感じてもらえたら」と話す。

番組の顔となる新キャスターには「おはよう日本」「ブラタモリ」「紅白歌合戦」など経験豊富な桑子真帆アナウンサー(34)を起用。硬軟こなす実力と高い認知度に期待を寄せ「10時の時は『敷居が高い』というご指摘もあった。取材した大事なテーマをなるべく届けきりたいし、親しみやすさをキャスターによって出していきたいと思っています」。

新しさを見せる一方で「ワンテーマ30分で深めきることは、キャスターが変われども変えていないところ」と飯田P。「時間も人もかかって、費用対効果からすると割に合わないと思うことも多いんですが、そこはNHKが公共放送としてやらなければいけない部分。NHKだから見てよかったと思ってもらえる、勝負できるところ」と力を込める。松本Pも

「ジャーナリズム精神といいますか。『クロ現』が長年培ってきた、深く独自に掘り下げる精神は守り抜いていきたい」と語った。

NHK「クローズアップ現代」の統括プロデューサーを務める飯田健治氏(左)と松本卓臣氏

NHK「クローズアップ現代」の統括プロデューサーを務める飯田健治氏(左)と松本卓臣氏

国際情勢や社会問題といった重厚なテーマを扱う印象が強いが、11年2月にはメガヒット漫画「ワンピース」の人気に迫った企画も。13年6月放送の「オノマトペ」特集はその月の視聴率トップを記録するなど、軟らかい話題も守備範囲だ。より多くの人が視聴するゴールデン帯に移り、松本Pは「もちろん、報道として切り込んでいく剛速球は必要だと思いますが、変化球もあった方がカラフルさが出てくるし、より広い視聴者に訴求すると思う」と、間口の広さを意識。リニューアル後には天気が原因で起こる体調不良「気象病」について取り上げ、飯田Pは「身近だけど、『クロ現』で料理することで実はこういう風になっていたんだと。掘り下げた先の新事実とまでは言わなくても、視聴者の方が知らなかった事実を提示できれば、『クローズアップ現代』として成立できると思っています」と語った。

NHK「クローズアップ現代」のキャスターを務める桑子真帆アナウンサー

NHK「クローズアップ現代」のキャスターを務める桑子真帆アナウンサー

「やりたいと言って企画が通れば作れる番組」

「クロ現」は、国際、政治、科学、スポーツ、文化などテーマごとに提案部局が異なる。地方局や世界中の総支局も含め横断的に企画が集まる仕組みで「やりたいと言って企画が通れば作れる番組」(飯田P)と、多様なテーマにつながっている。世の中の動きに合わせて番組が差し替えになることもよくあり「トンガの大噴火が起きた時は、『明後日トンガやろう』みたいなこともあります。1人のディレクターが中長期取材して少人数で作りきるものもあれば、30人くらいで1日で作ってしまう回もあります」(松本P)

初代キャスター・国谷裕子さんとの思い出は・・・

○…松本、飯田両Pともに96年入局の同期で、「クロ現」ではディレクターも経験。初代キャスター・国谷裕子さんとの思い出を語り「試写で国谷さんに厳しいことを言われた記憶があって(笑い)。そういうことを経ていかないと、鍛えられていかなかったんだろうと思います」と飯田P。「でもその厳しさは的を射た厳しさ。見識がある」と振り返る。入局以来、報道畑を歩む松本Pは「何本作ったか覚えてないですね」と笑いつつ、「『クロ現』に育ててもらった。リニューアルも恩返しのつもりでやっています」と語った。

◆「クローズアップ現代」 93年4月にスタート。さまざまなジャンルから1つのテーマを取り上げて掘り下げる報道番組。30分の生放送で、主にVTRとゲストの解説で構成される。放送開始から16年までの23年にわたり、国谷裕子さんがキャスターを務めた。長く午後7時30分に放送されたが、16年から「クローズアップ現代+(プラス)」に名を変え、放送時間も同10時に移動。今回のリニューアルで改題し、再び午後7時30分に放送される。