IPC(国際パラリンピック)委員会広報責任者のクレイグ・スペンス氏は26日、都内のメインプレスセンターで行った東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委員会との合同定例会見で、IOC(国際オリンピック委員会)トーマス・バッハ会長の再来日について「会長が来てくださって、本当に良かった」と何度も繰り返すなど、適切だったと強調した。

政府のコロナ分科会の尾身茂会長は25日の衆院厚労委員会の閉会中審査で、新型コロナウイルス感染急拡大中に、バッハ氏が再来日したことを「何でわざわざ来るのか」と批判した。スペンス氏は「日本政府の承認も受けた」とした上で「重要なのは競技を肌で感じて、見ていただくこと」と、オンラインではなく、直接視察する重要性を強調。さらに「IOCの会長には、過去にもパラ開会式に来ていただいている。今回も来ていただいてうれしかった。選手もバッハ会長が会場視察される姿を見て、うれしく思っていたようだ」と、選手もバッハ氏の来場を歓迎していたと説明した。

組織委の高谷正哲スポークスパーソン(SP)は「バッハ氏はこれまでの伝統同様に出席いただいたもの。来日にあたり、必要な防疫措置を講じた上で、適切に行動した」と話した。バッハ氏の来日中のスケジュールについては「私たちで確認することはできない。IPCかIOCに確認いただくかで、組織委広報としてはお伝えすることはできない」としたが、「適切に行動」と話したことから、前回来日時の“銀ブラ”など、不要不急の外出にあたる行動はなかったと示唆した形だ。

IOC会長は通常、IPCからパラ開会式に招待されており、バッハ氏も慣例から、24日に開会式に出席した。スペンス氏によると、バッハ氏は25日にはゴールボール、車いすフェンシング、車いすラグビー、競泳、車いすバスケットボールの5会場を視察。同日夜に離日した。

尾身会長は25日の閉会中審査では「バッハ会長は何でわざわざ来るのか。もう1回来たから。銀座も1回、行ったんでしょう。一般庶民としてそう思う。あいさつが必要なら、なぜオンラインでできないのか」と、バッハ氏の再来日について厳しく批判していた。