競輪祭は最後の賞金争いという側面があり、ファンや選手にも分かりやすく、感情移入しやすい。

荒井崇博が準決10Rで執念でインまくりを決め、続く11Rの山田庸平のプレッシャーも伝わってきた。その願いを打ち砕くかのように、新山響平が打鐘前からカマす。前日の新山はラインの犠牲になった感はあるが、準決になると仕掛けが違った。

一本棒で最終ホームを迎え、新山のかかり具合は相当良く見えた。庸平は足を使っているし、郡司浩平は6番手。北日本で決まりかと思ったが、郡司は1センターからまくり、守沢太志のブロックを越えて1着。

最終バックで守沢がブロックする瞬間、場内のボルテージは最高潮を迎えた。郡司の強くしなやかな走り、守沢の職人技、新山の先行力と見どころ満載のレースだった。個と個がぶつかると、こんなにレースは面白くなるのかとあらためて思った。


ヤマコウは郡司浩平の高い総合力に期待
ヤマコウは郡司浩平の高い総合力に期待

決勝12Rは新田祐大が北日本の先頭を務める。「自分が一番強いから」と言葉少なめに語ったが、そうすることで新山にもチャンスがあると考えたのだろう。ただ、ラインとして強くなるかは別問題。郡司にとってはイン粘りも含め、戦法の幅が広がったと思う。(日刊スポーツ評論家)

【ヤマコウ・決勝の予想印】◎郡司浩平 ○小原太樹 ▲新山響平 ☆守沢太志 △平原康多