KEIRINグランプリ(GP)2度、日本選手権(ダービー)4度優勝などGP・G1で8冠を誇り「先行日本一」「魂」と呼ばれ、ファンに愛された近畿のレジェンドレーサー村上義弘(48=京都)が29日、突如、現役引退を発表した。

▽同郷の後輩・稲垣裕之(45=京都) 

平安賞(向日町G3)の後に電話をもらいました。実は何年も前から村上さんと同じ開催になると“もしかしたらこれが最後かも”と思って過ごしてきました。そうはいっても、走る姿をいつまでも見ていられるという期待もあったので、いざ引退と聞くとショックです。

思い出のレースは1つには絞れませんが、真っ先に思い出すのは、平安賞で初めて村上さんの前を回らせてもらったレースですね。当時「先行日本一」と言われていた村上さんに付いてもらったことで、自分が先頭で走る責任感をあらためて感じたことをよく覚えています。もちろん、G1の決勝やGPの舞台で、同じ思いを持って一緒に走れたことはかけがえのない思い出です。本当に寂しいです。

▽平原康多(40=埼玉)

本当に寂しい限りです! ずっとライバルであり目標であり高い壁としてずっと立ちはだかってくれた偉大な選手です。自分の心もそうですが競輪界に大きな穴が開いてしまったような気持ちです。

人間としても尊敬する部分しかありませんし、自分自身少しでも村上さんのような選手、人間性を目指して努力精進していきたいと思います。本当にお疲れさまでした。

▽同期の成清貴之(48=千葉)

向日町記念欠場だったので心配していたんです。報道を聞いて本当に驚いています。めっちゃくちゃ寂しいです。

同期の先頭、競輪界を引っ張り続けてくれて本当にありがとう。自転車大好き人間が引退を決めたのは並大抵の決意だと想像できます。目標を失った感じですが、本当にお疲れさまでした。

同期で唯一おれがすすめても、開催中に酒を飲んでくれなかったので、引退した時は飲みますって言ってた約束、守ってもらいます。

▽同郷で、心の師匠・松本整(63=引退)

少し前に本人が直接来て引退することを言われました。自分の納得のいく走りができなくなったということでしょう。実績は素晴らしいし、ファンに愛される選手だったと思います。

村上と初めて会ったのは彼が高校を卒業する直前でした。私が彼に言ったことの影響もあったでしょうが、それ以上に彼本人が持っている向上心がすごかった。私が会った人の中で一番でしたね。「強くなりたい」という気持ちに真っ正面から向き合い、目をそらさず、逃げずにここまでやってきた。一緒に練習をしていても、「強くなるためにやるんだ」という覚悟が一番感じられましたね。

「お疲れさま」は皆さん言うでしょう。私は「よく頑張り切った」と言ってあげたいです。

▽村上の背中を追い、今や近畿のニューリーダーとなった古性優作(31=大阪)

気持ちを整理するまでに少し時間を必要とした。それでも何とか思いを絞り出してくれた。「S級初戦が村上さんと同じ開催だったことが、僕の競輪人生の全てでした。あの時のアドバイスがなければ、今の僕は本当になかったです。答えが出ない時に、村上さんからいただいた数々の教えは僕の財産になりました。今後は村上さんが作ってくれた“近畿の競輪”をみんなで継承できるように頑張ります。村上さん28年間お疲れさまでした」。

▽東西の横綱と呼ばれ、ともに一時代を築いたライバルの武田豊樹(48=茨城)

同世代だけに自分と重ね合わせる部分も大きかった。輪界の顔とも言える村上君の引退は寂しいの一言です。同じ世代でいつも刺激をもらい、村上君の走りを見ては弱った自分を幾度となく奮い立たせてもらいました。感謝の気持ちでいっぱいです。まずはゆっくり休んで、第2の人生を楽しく過ごして下さい。長い間お疲れさまでした。