ドイツ2部リーグで、日本代表DF板倉滉(25)の所属するシャルケが1年での1部復帰を決めた。19勝5分け9敗で1試合を残して2位以内が確定。板倉はセンターバックとボランチとして30試合に出場し、自身のシーズン最多となる4ゴールをマークした。

ブンデスリーガの公式スタッツによると、今季の板倉のパス成功率(セットプレーを除く)はリーグ2位の91・3%。後方からの攻撃の組み立てでもチームに大きく貢献したことが数字に表れていた。

クラブ創設122周年の伝統あるクラブで、タフに戦い抜いた。昨夏の東京五輪では全6試合に出場し、移籍決定2日後の8月21日のレーゲンスブルク戦で途中出場してドイツ2部デビュー。その後はドイツ杯1試合を含め30試合全てに先発出場している。

オランダ1部フローニンゲンに所属した昨季初戦からはチームの公式戦に67試合連続出場中。今年は日本代表でも出場機会を増やし「(日本代表戦後の)移動は大変だけど、それは代表選手の宿命」と常にピッチに立ち続ける。代表主将のDF吉田麻也(サンプドリア)がイタリア・セリエAで出番を減らしており、W杯カタール大会に向けても東京五輪世代のセンターバックに懸かる期待は大きい。

満員の本拠地で1部復帰を決めた板倉はクラブを通じて「このスタジアムでファンのみんなと一緒に昇格できたことは本当にうれしい。素晴らしい気分」とコメントした。1試合平均のホーム入場者数は2部リーグ最多の3万3469人。1部を含めても王者バイエルン・ミュンヘンの4万143人、2位ドルトムントの3万9381人に次ぐ。

4月9日のホームでのハイデンハイム戦(3-0)では、1-0の後半7分に敵陣ペナルティーエリア内でパスを受けると、巧みな切り返しから相手DF2人をかわして右足で今季4得点目。その熱狂的なサポーターを沸かせた。

6月末でイングランドのマンチェスター・シティーからの期限付き移籍期間が満了となる。シャルケに完全移籍するには移籍金500万ユーロ(約6億7500万円)以上が必要とされているが、チームに不可欠な存在ではあるものの、財政難もあって板倉の来季は未定。足元の技術に優れた鉄人DFの去就が注目される。

【石川秀和】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「データが語る」)