新シーズンに入り、リーグ戦やチャンピオンズリーグ(CL)などが始まりました。この夏の移籍市場の話題を独占したパリ・サンジェルマン(PSG)ですが、戦力が噛み合うのかというところはどこよりも注目度が高いでしょう。これほどまでに注目度が高い状態でのシーズンインは経験したことがないのではないでしょうか。1シーズン通してこのプレッシャーに耐えることができ、悲願であるCLの栄冠を手にすることができるのか、今シーズンの注目すべきトピックスです。今回はフランスリーグなどの歴史をのぞいてみたいと思います。

まずフランスサッカー協会が設立されたのが1919年とあります。1932年にはリーグ・アンが開始。W杯への出場は、W杯生みの親と言われているジュール・リメ氏が当時FIFAの会長だったこともあり、1930年の第1回大会から出場しています。ちなみにですが、記念すべきW杯初ゴールを決めたのもフランス代表の選手でした。

国別という視点でみてみると、初めて上位に食い込んだのは1958年のスウェーデン大会。レイモン・コパというレアル・マドリードでも活躍した選手を中心に3位に食い込む大躍進でした。この第1の黄金期を経て、ミシェル・プラティニを中心とした、1978から1986年まで3回連続で出場した時期が第2の黄金期とされています。1984年には自国開催の欧州選手権で初めての国際タイトルを獲得しましたが、悲願のW杯を手にするのは1998年のジダンの登場まで待たなければなりませんでした。

クラブ別の歴史を見ると、CLの前身チャンピオンズカップが始まったのが1955年ですが、その最初の決勝戦の対戦カードがレアル・マドリードとフランスのスタッド・ランスという組み合わせで、この最初の5大会はレアル・マドリードが連覇したのですが、その1回目と4回目の相手がスタッド・ランスという同カードでした。先述のレイモン・コパが最初はランスで出場し、2度目の対戦ではレアル・マドリードの一員として戦っています。次にフランス勢の名が出てくるのが1975-76シーズンの決勝でバイエルンと対戦したサンテティエンヌ。当時はベッケンバウアーやミュラーを中心にバイエルンが全盛で、準優勝という結果でした。1990-91シーズンにもマルセイユがフランスのクラブとして初栄冠を目指して決勝に進出するも、PK戦でレッドスターに敗戦。直後の1992−93シーズンから名称もチャンピオンズリーグとなり、マイルセイユが初めて優勝を果たしました。しかしその後八百長が発覚するなどスキャンダルがあり、タイトルは剥奪されなかったものの、欧州チャンピオンとして活動する権利を失いました。2003-04シーズンにも現代表監督であるデシャンがモナコを率いて決勝進出するも、モウリーニョ率いるポルトの前に敗退。欧州タイトルにはなかなか手が届いていない状況のなか2019-20シーズンにPSGが初の決勝進出を果たすなど、悲願のタイトル制覇に近づいてはいます。リーグ・アンといえばフランス代表やブラジル代表をはじめとする各国の代表選手が多数在籍しているだけでなく、アフリカ系の選手が非常に多いのも特徴です。身体能力が高く、将来を期待されている若手が多く、かつてはオランダと並んで「若手の登竜門リーグ」のような位置づけでした。ただ、PSGの経営体制が大きく変わった2010年代以降は、各国の代表選手を中心としたスター選手のリーグ参入が続いています。

次回は、カタールとPSGについてもう少し深く探ってみたいと思います。

【酒井浩之】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「フットボール金融論」)