「現場発」ですので、まずはこの話題から。中東テヘランの現場は本当に暑かったんです。会場のPASスタジアムは「暑い」というより、もう「熱い」。そんな感じでした。

 日本は13日の大事なW杯アジア最終予選のイラク戦で追い付かれて引き分けました。選手が負傷や暑さでバタバタと、文字通りダウンしていくような試合は初めてでした。

 ハリルホジッチ監督のもと晴れてW杯出場が決まった際に、引き分けで良かったと、あの勝ち点1の重みを感じられたらいいのではないでしょうか。

 前フリが長くなってしまいました。「PAS」スタジアムのように、サッカー界ではアルファベット3文字が大きな意味を持ちます。

 国名ならJPN(日本)、チームならPSG(パリサンジェルマン)。日本サッカー協会ならJFA、そしてユニットならバルサのMSN(メッシ、スアレス、ネイマール)が有名です。

 個人名もあります。CR7といえば、レアルとポルトガル代表の背番号7、あのC・ロナルド。AVBは、上海上港のビラスボアス監督といった具合です。

 ちなみに、本田圭佑選手にも一応、KSKという独自のブランドがあります。

 最近注目されているのが、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)、開催中のコンフェデ杯で活躍中? のビデオ判定です。

 国際サッカー連盟、FIFA(こちらは3文字ではなく4文字ですが…)のインファンティノ会長は、来年のW杯ロシア大会での導入にも前向きのようです。

 ただ、私にはVARがサッカーの未来を明るく照らすとは思えません。もちろん、判定は正しいにこしたことはないと思います。ただ、微妙な判定、誤解をおそれず言うならば誤審もまた、サッカーの一部ではないでしょうか。

 マラドーナの神の手が、ハンドでアッサリ取り消されていたら…。サッカーの歴史は味気ないものになってしまう、そんな気がするのです。

 もちろん、あまりにあいまいでも困ります。本格導入されるべきはGLT(ゴール・ライン・テクノロジー)だと思います。

 矛盾するかもしれませんが、厳格であるべきはゴールラインを越えたのかどうか。この1点においてのみでいいと思うのです。

 すべての試合にGLTが導入されていれば、日本代表もW杯アジア最終予選でここまで苦労することはなかったのではないか、そう思うのです。

 昨年9月の最終予選初戦。日本がまさかの敗戦を喫したUAE戦を思い出してみてください。後半の浅野選手のゴールラインを完全に越えたようにみえた幻のゴール。GLTさえあれば少なくとも、あと勝ち点1の余裕があったはずです。

 Jリーグはより正しい判定に、ゴール脇にそれぞれ1人を配置する追加副審(AAR=アディショナル・アシスタント・レフェリー)の導入を進めています。

 サッカーの魅力を損なうことのないよう、監督、選手、チーム、そしてクラブの努力が報われるような正しい判定のために、何が正しい方法なのでしょうか。

 この現場発(GBH??)で、皆さんに少しでも考えていただくことができたら、幸いです。【八反誠】

 ◆八反誠(はったん・まこと)1975年(昭50)岐阜県生まれ。98年入社。06年からサッカー担当に。途中、プロ野球中日担当も兼務。14年1月から東京勤務。日本サッカー協会やJリーグなどを担当している。