浦和レッズがアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)で日本勢9年ぶり、クラブでは10年ぶりの優勝を飾った。シーズン途中から指揮をとり、チームをアジアの頂点に導いたのは堀孝史監督(49)。口数が多いタイプではない指揮官は、選手スタッフ全員に対して「誠実に向き合うこと」が自身の監督哲学だと語った。

 メンバーがほぼ固定されていたペトロビッチ前監督からうってかわり、就任時から「しっかり競争していこう」と選手に呼び掛けた。「すべての選手を同じ目で見ていかないといけないと思っている」と、調子がよければ積極的に起用した。全体練習が終わったあともピッチに残り、追加で自主トレをする控え組の選手たちをじっと見つめた。コーチ陣の言葉にも耳を傾け、MF長沢和輝をACL準決勝で抜てき。才能を開花させた。

 自身の現役時代、数多くのポジションをこなした。「短い出場時間でもよければ」と条件をつければ、GKを除くすべてのポジションに立った。最も印象に残っているのはキャリア終盤にプレーしたボランチだという。「けが人などいろいろな事情がある中で、必要としてくれるならすべてを受け入れていた。得意なポジションはありませんが」。ピッチに立つすべてのフィールド選手の目線が分かることは、アドバイスをする時にも役立った。

 理想型はまだ先にある。「失点を減らすことを考えながらやってきた。まだ道半ばですけど。守備でアプローチすると攻撃が(不足する)、というのも感じていて。伝え方というか、そこに難しさは感じている」と、まだまだチームに伸びしろを感じている。攻守のバランスがよりよくなれば、今以上に負けないチームが作れるイメージがある。

 07年にアジア初制覇したときは下部組織で指導していた。「勝負強いチームだなという印象があった」。まさにその“勝負強さ”を植えつけ、アジアの頂まで走りきった。より高みを目指し、12月のクラブW杯では大陸を超えた戦いに挑む。【岡崎悠利】

 ◆岡崎悠利(おかざき・ゆうり) 1991年(平3)4月30日、茨城県つくば市生まれ。青学大から14年に入社。16年秋までラグビーとバレーボールを取材し、現在はサッカーで主に浦和、柏、東京V、アンダー世代を担当。