ガンバ大阪がようやくトンネルから抜けた。半年、本当に長かった。

 14日のルヴァン杯浦和レッズ戦を4-1で勝ち、公式戦18試合ぶりに飾った白星。翌15日、大阪・吹田市内のクラブハウスに来た選手たちは「本当に良かった」と久しぶりにスッキリとした笑顔を見せた。

 なぜ、暗く長いトンネルから脱出できたのか。浦和戦の前、10日のJ1川崎フロンターレ戦は0-2で敗れ、今季の公式戦は4連敗を記録していた。課題ばかりが積み重なり、どこから手を付ければいいか分からないぐらいチーム状態は最悪。それでも、切り替えてずっと欲しかった勝利をライバル浦和からもぎ取った。

 浮上のきっかけを作ったのは2人のレジェンドだった。11日、J3開幕戦でG大阪U-23はグルージャ盛岡と対戦。前半5、7分で先制されるという苦しい展開だった。2点リードを許したまま折り返したハーフタイム。クラブOBで現役時代はゲーム主将も務めていた山口智コーチが少し厳しめの口調で話した。

 「トップチームがこういう(連敗の)状態でお前たちは(アピールの)チャンスやろ。こんなんでいいのか」

 山口コーチの熱い言葉は若手の心に響いた。結果、後半で3得点し勝ち越しに成功。後半終了間際まで攻め続け、逆転した。そして、この勝利はトップチームにも刺激を与えた。“ヤングガンバ”がつかんだ白星を受けて、DFオ・ジェソクは「最後まで諦めずに戦って、勝って、という姿を見て『自分たちももっと頑張らないと』とみんな言っていた。浦和戦で気持ちで負けなかったのはU-23のみんなのおかげ」と明かした。

 精神論かもしれない。結果論かもしれない。だが、若手の必死さがチームとしてプラスに働いたことは事実。J3に出場していた22歳のMF森は「セカンドチームのある意味を少しでも見せられたなら良かった。自分たちが底上げしてチームをいい方向に導けるようにしたい」と、チームの一員として上昇気流に乗せることを誓った。

 もちろん、気持ちの部分だけではない。浦和戦、試合前のロッカールーム。レビークルピ監督が話した後、チーム主将のMF遠藤が話し出した。「サイドバックは高い位置を取って。サイドハーフは中にしぼって。試合の入りは大事にしよう」。混乱状態だったチームの抑えるべきポイントを整理し、やるべきことを明確にした。

 どん底からはい上がるために、1人1人が手を尽くした。半年間、うまくいかないことも多かった。まだたった1勝かもしれない。でも、本当に大きな1勝だ。次はJ1リーグ戦。現在は3連敗で最下位に沈むが、今こそ全員の力を結集する時だ。

 ◆小杉舞(こすぎ・まい)1990年(平2)6月21日、奈良市生まれ。大阪教育大を卒業し、14年に大阪本社に入社。1年目の同11月から西日本サッカー担当。担当はG大阪や神戸、広島、名古屋、J2京都など。