FC東京が早くも正念場を迎えている。14日、DF室屋成(26)がドイツ2部ハノーバーへ完全移籍することが正式決定した。7月にはMF橋本拳人(27)がロシア1部ロストフへ完全移籍。FW永井謙佑(31)を含めて国内組では貴重な日本代表クラスを3選手抱えていたが、ひと夏で一気に2人が抜けることになった。

東京はリーグが再開してからの9戦を終えて、先制点を奪ったのは2試合だけ。守備の安定感が1つの課題として浮き彫りになった中、不動の右サイドバックだった室屋と守備職人の橋本の穴を埋めるのは簡単ではない。さらに7月22日の札幌戦でMF東慶悟主将(30)が右第5中足骨を骨折し、復帰までは約3~4カ月かかる見通し。昨季クラブ歴代最高の2位に入ったチームの中核が次々と抜けた。

新型コロナウイルスの影響で、移籍市場の動きも鈍化が否めない。長谷川健太監督(54)も補強の難しさを感じているといい「シーズンがタイトに進む中で、日本代表クラスの選手に代わる選手を補強するのは至難の業」と話した。昨季もMF久保建英(19)をレアル・マドリードに送り出すなど、実力者を輩出するからこそ、抱えるジレンマがある。

主力の“流出”のペースを上回る成長が、残る若手に求められる。大卒でJクラブは東京のみの室屋、下部組織出身の橋本や久保と同じような道を歩んている選手が複数人いる。橋本の穴を埋めることを期待されるMF安部柊斗(22)と、右サイドバックをこなせる中村帆高(23)は室屋と同じ明大卒の1年目。たたき上げの191センチFW原大智(21)は昨季J3で得点王となり、満を持して今季J1にデビューした。

前節C大阪戦でGK波多野豪(22)が抜てきされたように、長谷川監督は状態が良い選手には積極的に出番を与えている。「有望な若手がいる。彼らにいい刺激を与えて、短時間で結果が出せるようサポートしたい」と指揮官は話す。今こそチャンスと捉え、貪欲にアピールする若手を長谷川監督も待ち望んでいるはずだ。

短時間にこれだけ主力が抜ければ、「今年は厳しい」と考えもしたくなる。ただ、東京には覚醒の可能性を秘めるルーキーが多数いる。チームの看板になる存在の登場が、悲願のリーグ初優勝への条件だ。【岡崎悠利】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「サッカー現場発」)

東京FW原大智(2018年5月16日)
東京FW原大智(2018年5月16日)