横浜市のイタリア料理店「Cucina Pinocchio」でシェフを務めた経験や、医師、管理栄養士から学んだことを実践。日本代表やインテルミラノのトレーナーが驚く、筋肉の柔らかさを維持できるように努めている。

 加藤氏 アスリートは脂質、油をなるべく取らないという時代が続いてきましたが、MCTオイル、亜麻仁(あまに)油のような良質なオイルを摂取することを大事にしています。関節をしなやかにし、筋肉を良質にする。本人は『あと1歩踏み込む時の怖さが軽減した』と言います。足がつりにくくなったり、肌質が良くなったのも細胞が生まれ変わっている証拠。筋肉の変化の証しです。

 献立は練習内容によって替える。インテルミラノの練習は見学できないため、長友から聞き取る。遠征などに同行できないときには食事内容を助言する。「極端に言えば、持久力系の赤い筋肉を使ったら赤い肉の馬肉にしようとか、瞬発力系の白い筋肉を使ったら白い肉の鶏肉を使おうとか。常にリカバリー(回復)、使ったものをプラスしてあげる感覚です」。料理上手な愛梨夫人に情報を伝え、お願いすることもある。

 詳細は「企業秘密」とのことだが、調味料や塩分量までデータを取っている。

 加藤氏 これを使えばおいしくなるんだけど、塩分量がオーバーしてしまうからダメというような葛藤も多い。ラーメンを食べたら1日の塩分量はアウトです。たまに食べたいデザートも、白糖を使わないケーキなどを作っています。

 W杯まであと約9カ月。「インテルでも、代表でも活躍し続けてほしいですね」。長友が完全燃焼できるよう、365日態勢で支えていく決意だ。

 ◆MCTオイルと亜麻仁(あまに)油 MCTオイルはココナツを原料とした中鎖脂肪酸油100%の食用油脂。消化や吸収が良くエネルギーになりやすく、脂肪燃焼を促進する効果、ダイエット効果があるとされる。亜麻仁油は植物の亜麻の成熟した種子から得られる油。血液中の脂質濃度を下げる働きや、コレステロール値の改善、動脈硬化の予防などの効果もあるとされる。大相撲の横綱白鵬もドレッシング代わりに愛用している。

<ある日の昼食献立>

 ◆昼食のポイント 和食は塩分過多になりがちです。みそ汁も魚のアラなどでしっかりダシをとり少量のみそでもおいしくなる工夫をしたり、海鮮丼に使用するしょうゆも量って決めています。

<ある日の夕方献立>

 ◆夕食のポイント 夕食は筋肉や細胞に必要な栄養素を補給するため、タンパク質、良質なオイル、野菜を中心に摂取しています。タンパク質はお肉、お魚の両方から摂取することなどを意識して献立を作成しています。