サッカーワールドカップ(W杯)ロシア大会での代表メンバー入りを目指すパチューカFW本田圭佑(31)が13日、東京・稲城市でJ2東京ヴェルディのトレードマークの緑のシャツに袖を通し充実の表情でトレーニングに汗を流した。

 日本サッカー協会が本田のコンディション維持にJクラブへの練習参加が可能かを検討していたが、東京Vが手を差し伸べ、本田にとっては名古屋グランパス在籍時の07年以来、11年ぶりの“J復帰”が実現した。

■上向くコンディション

 午前10時からボール回しなどでアップをはじめ、3対1のタッチ数制限などで、次第に動きの激しさを増していく。6対6では、右サイドとトップ下を交互に入れ替わりながら、判断を速めながら周囲との連携を深めていく。ゴールなしの6対6を終えると、給水してからゴール+GK付きの7対7に移行。ここで、コンディションが上向いたシーンをのぞかせた。ゴール右サイドで持つと、ペナルティーエリアのライン際を左へ、左へと細かいステップを踏みながらスライドしつつ、わずかなシュートコースを逃さずに左足でゴール右端へ鋭いゴールを決めた。

 これまでも同様のケースで、大学生と思われるパートナーを振り切れずにいたが、この日の動きはコンパクトな左足の振りと、威力十分の強烈なシュートが印象的だった。思わず本田もガッツポーズが出るほどのファインゴールだった。

 その後は、助走をつけての50メートルダッシュを4本。いずもれ東京Vの選手と走ったが、ほぼトップで走り抜け、負荷をかけても体がスムーズに反応しているようだった。

■橋本、井林ら歓迎の声

 ガンバ大阪時代に、ジュニアユースに所属していた本田と顔見知りだった元日本代表MF橋本英郎(38)は、2010年以来となる本田との再会を喜んだ。

 「チームが連敗している時に、日本代表の顔と言われる選手と練習できることはとてもありがたい。若い選手も多くの刺激を受けている。練習の中でパス交換をしていくうちに、若い選手からも声がどんどん出るようになった。居残りする選手も増えたし、みんなが本田選手を意識している感じがしますね」

 キャプテンを務めるDF井林章(27)は本田の印象について、新鮮な感想を口にした。

 「最初にチーム事情を説明させてもらいましたが、テレビで見ている本田さんらしく『ああ、そうなの。へえ~』と、硬い感じでした。練習の中ではプレーにからむ選手への要求も多く、コミュニケーションを大事にされていることがよくわかりました。本田さんと同じ世代の人は楽しそうにやってますが、まだ若い世代は本田さんを恐れている感じですね。もっとうち解けてくれれば、さらにいい刺激になると思います」

 また、本田のコンディションについて井林は「スプリントも問題ないですし、ボールを持った時の動きの質が高く、違いを見せてくれています」と、感想を口にした。

 もっとも、せっかく本田との練習機会があるだけに、そこは同じ仲間としてもっと身近に感じたいところ。井林は「本当はいじってみたいんですけどね。みんなとも(本田さんを)いじりたいよねって、話してるんです。問題はどういじるか、ですね。そのきっかけを探っています」と、初々しいコメントで報道陣を和ませていた。【井上真】