日本サッカー協会は1日、都内で会見を行い、U-17(17歳以下)女子日本代表“リトルなでしこ”を率いる楠瀬直木監督(54)について、JFA女性職員に対する不適切な行為があったとして本人から辞任の申し出があり、これを受理したことを発表した。

会見に出席した田嶋幸三会長、今井純子女子委員長、須原清貴専務理事が詳細を説明した。昨年6月と今年9月の2度、楠瀬監督から女性職員へハグなどの行為があり、不快感を抱いた同職員が今年9月下旬にメールで上司に相談したことから事態が発覚。その後、本人や関係者へのヒアリングを複数回行い、弁護士を含む外部の専門家らとも相談をし、楠瀬さんに不適切な行為があったと判断した。

一方で「事件性のある性的な行為では決してなかったということは申しております」とも説明し、ハグなどを行われた場面についての具体的な状況については「私どもは今回対象となっているJFAの当該職員の人権を守ることを最優先に考えております」として多くを明かさなかった。

同代表はちょうど1日からU-17女子W杯にむけた国内合宿を福島県内で開始。4日にウルグアイへと出発し、13日に1次リーグ第1戦のブラジル戦を迎えるところだった。チームはU-18日本女子代表の池田太監督が監督代行を務める。

会見での主な一問一答は次の通り。

-辞表を受理したのはいつであったか。また、ひと言で言えばセクハラがあったという認識でいいのか

須原専務理事 辞任届は10月31日付けで頂いております。ふたつめの質問については、不適切な行為でございます。セクハラかどうかにつきましては弁護士の方からも完全にそう断じることはできないと見解を頂いています。

-楠瀬氏のヒアリングでの説明。当時の飲酒の有無

須原専務理事 起きた事案につきましては、楠瀬さんが理解をしている、覚えている範囲で返答していただいている。飲酒していたのかかどうかは今回の職員の特定につながりますので、コメントは控えさせていただきます。

-昨年6月にハグをした経緯について、楠瀬氏はどう説明しているのか

須原専務理事 その(行為に至った)理由などにつきましても職員の特定につながりますので、コメントは差し控えさせていただきたい

-ハグなどの行為があったのは昨年6月と今年9月ということだが、行為は2回のみか

須原専務理事 私どもが認識しているのはこの2回でございます。

-被害にあわれた方は女性か。解任にならない理由は

須原専務理事 女性でございます。ご本人の方から反省した上で辞表を提出いただきましたので、私どもといたしましてもその意向を尊重して受理しました。

-楠瀬監督からの辞任についての談話はあるのか。代表スタッフへの暴力根絶などの研修のようなものはもともとああったのか

須原専務理事 楠瀬さん本人からは「大変ご迷惑をおかけして申し訳なかった」という言葉を頂いている。ふたつめの質問については、指導者、監督およびコーチに関しては契約の時にコンプライアンスへの内容が記載されているので、それをしっかりと説明した上で十分に留意するようにと伝達しています。ただ、その後に追加でそういったことを定期的に行うことはできておらず、その点については反省しております。

-U-17の選手やスタッフにはどのタイミングで辞任を伝え、どのような反応があったのか

今井委員長 スタッフに関しましては今回のキャンプの前日入りで準備していたので、昨日説明をしました。もちろん皆、一様に驚いていました。その上で選手たちが大会にむけてしっかり集中して臨めるようにしっかりやっていこうという意思確認をしました。選手には今日集合してバスに乗る際に説明しました。同様に大変驚いていましたが、集中して目の前のサッカーに向き合って取り組むことが自分たちにできることであるし、不安や気になることがあったらスタッフに伝えてほしいと伝えています。

-楠瀬氏がハグをした理由は

須原専務理事 ハグをした理由については「お疲れさま」という意味とおっしゃっています。

-さまざまな対策を行ってきた上で、このようなことが起こってしまったことについての感想を。また可能であれば被害女性の年代など教えていただけるなら教えてほしい

須原専務理事 しっかりと時間をかけて事象を分析し、今あるプログラムを整理する必要があるので後日、どこかのタイミングでしっかりとご説明したい。今、お伝えできることは、代表チーム役員へのコンプライアンスに対する研修は見直す必要があると考えています。(被害女性の年齢は)控えさせてください。

-ハグがあったのは屋外でのことというのは業務中での出来事なのか

須原専務理事 業務の出張中での出来事でございます。