今夏、欧州5大リーグのセリエAパルマへステップアップを果たした日本代表GK鈴木彩艶(22)が、FIFAワールドカップ(W杯)北中米大会アジア最終予選初戦の中国戦で先発出場した。22歳15日でのW杯最終予選デビューは97年川口能活の22歳23日を抜く、日本人GK最年少記録。古巣浦和の本拠で、日本サッカー史に名を刻んだ。
背番号1の鈴木が、慣れ親しんだピッチに代表ユニホーム姿で初めて立った。小学生から、昨夏まで所属した浦和のホームスタジアム。選手紹介では、ひときわ大きな声援を浴びた。
昨年11月にA代表デビューを飾り、いきなり今年1~2月のアジア杯カタール大会でスタメンに抜てきされた。しかし…。日本史上ワーストとなる5試合8失点でチームも8強で敗退。結果が求められるA代表だけに、批判を浴びた。悔しさの一方で「課題が見えたゲームもあったし、大会を終えてチームに戻った後、パフォーマンスが上がったと思っている。次は結果を出して皆さんに返したい」と、進化を証明しに来た。
幼い頃から養った、自立の精神で成長が加速した。「小さい時から、母から『自分のことは、とにかく自分でやるように』と言われていた」。練習着は自分で洗濯し、遠方の練習場にも送迎なしで1人で通った。浦和の下部組織に入ってからは、その意識がより強まる。「自分は良くも悪くも目立つ。良いことをすれば良い方に、悪いことをすれば、より悪く目立つ。そう常に考えて、周りにとってプラスになるような行動をしようと心がけてきた」。ごみ拾い、仲間への声かけなどを積極的にやってきた自負がある。
目標は「世界一のGK」だ。小学生の頃から口にしていた言葉で「日本代表としての世界一でもいいし、プレミアでプレーする世界一のプレーヤーでもいい」と大きく想像してきた。20歳でベルギーへ渡り、わずか1シーズンで5大リーグまで上りつめた。守備の国イタリアでも開幕から正GKの座をつかみ、日本代表でも立場を固めつつある。
それでも、現在地を問われると「もう到底、まだまだ届いてないなという感じ」と上だけ見据える。理想は「何でもできるGK」。セービングはもちろん、1対1、クロス対応、ビルドアップ、ロングキック…全て高水準に引き上げたい。
出場するはずだった今夏のパリ五輪は、移籍の関係で諦めた。残るのはA代表のW杯だけ。その最終予選に、日本のGK最年少で立った。2年後の本大会は23歳で迎える。まずは予選突破までゴールマウスを守り切り、「世界一」への階段を駆け上がる。【佐藤成】

