<アジアCL:鹿島4-1シンガポールAF(シンガポール)>◇7日◇1次リーグ◇G組◇シンガポール

 【シンガポール7日=菅家大輔】G組の鹿島がアウェーで高温多湿の厳しい環境の中、格下のシンガポールAFに苦戦を強いられながらも4-1で勝ち、勝ち点を6に伸ばした。1-1で迎えた前半42分にカウンターからDF内田篤人(21)が約80メートルを激走して決勝点を奪い、後半2分には大型新人FW大迫勇也(18)のACL2戦連続となるゴールで突き放した。次戦は22日にホームでシンガポールAFと対戦する。

 ゴールだけを目指し、高温多湿の環境の中で約80メートルを激走した。前半42分、ゴール前でCKをクリアした内田が全力で前線へ駆け上がる。野沢からのパスを受けて敵ペナルティーエリア内に入り込むと、狙い澄まして右足を振り抜く。放たれた一撃が決勝点となった瞬間、歓喜を込めた右こぶしを突き上げた。

 闘志はプレーに表れていた。後半13分に接触プレーで頭部を強打。脳振とうで記憶を失いながら、交代する同21分までピッチで戦い抜いた。試合後も「全然覚えてない。1-1になったところは覚えているけど…。自分の得点?

 なんとなく覚えている」と、もうろうな状態で振り返った。

 キックオフ時の湿度は89%。この一戦でクラブ、代表を含め今季14試合目。日本で最も試合をこなしているJリーガーだ。「疲労?

 気にしても仕方ないでしょ。やるしかない」。普段から淡々と話すが、その裏で午前練習終了後の午後にクラブハウスを訪れ、体をケアする姿がある。12日のリーグ東京戦の出場可否は8日の帰国後の状態次第ながら、背番号2の魂は確実にチームに刺激を与えた。

 3歳上の先輩に続き、決勝トーナメント進出のために絶対に負けられない一戦の勝利を確定させたのは、新人FW大迫だ。後半2分。FWマルキーニョスの右からのクロスを苦手なヘッドで合わせてダメ押し弾。「点を取れたけど、まだまだ取れた部分があった」と反省するが、「絶対に競り勝つという気持ちが大事」と教えたDF岩政の指導や自らの居残りで鍛えたヘッドで結果を残した。

 3月18日のACL上海申花戦の得点後、2試合無得点。「危機感は常にあった。疲れたなんて言ってられない。ヘディングも少しずつはうまくなっているので、練習したい」。ACLで2戦連発の殊勲者に対し、オリベイラ監督は「選手の状態次第だが、(12日も)基本的には同じメンバーでいきたい」と大迫の先発を約束した。G組は鹿島を含め3チームが勝ち点6で並んだ。内田の闘志と大迫のゴールで引き寄せた1勝が悲願のアジア制覇への軌跡となる。