個人の技術を磨くには対人プレーが大前提と語る。欧州でプレーして体感した日本人が世界で戦うためのメソッドのひとつだ。

 財前 試合中にリフティングする? 1000回できるとかじゃない。もちろんできないよりできるに越したことはないけど、サッカーがうまくなるわけじゃない。大切なことは対人。2人組でリフティングさせると、みんなできない。相手のことを考えてのパス。インステップで100回思いやりのあるパスを出させたほうが意味がある。海外の選手って体をうまく使って競り合うのがうまい。サッカーって敵も味方も相手があるもの。常に対人を意識させている。

 若くして才能を認められ、世界のトップレベルを体感してきた。

 財前 ヴェルディでやってたときカズさんと代理人が一緒だった。カズさんがセリエAのジェノアでプレーしたとき、俺はローマ(ラツィオ)にいた。カズさんがクロアチアに行ったらおれもクロアチア。カズさんとはセットだった。一緒にプレーはしていないけど、家に呼ばれてりさ子さん(カズ夫人)に日本そばをごちそうになったり。それは俺にしかない経験。カズさん、ネスタ(元イタリア代表)とやれるのは一握りの選手。そこでの経験を子供たちに落とし込みたい。

 3度の前十字靱帯断裂を経験するなどけがに悩まされたサッカー人生。仙台、山形で2度の戦力外通告を経験するなど挫折の連続だった。

 財前 俺が失敗したことも落とし込みたい。試合に出続けている人はけががない。出続けることが大切。どの監督にでも使いたいという選手になれって。俺はトップ下にこだわってポジションを巡り監督と対立した。それで戦力外になった。いろいろなポジションをこなせることに越したことはない。いい経験も失敗も、俺は伝えたい。