北海道コンサドーレ札幌に新加入したタイ代表MFチャナティップ(23)が、日本デビュー戦で勝利に導くゴールパフォーマンスを“予告”した。チームは今日26日、ルヴァン杯プレーオフ第2戦でセレッソ大阪と敵地の金鳥スタジアムで対戦。第1戦では本拠地で0-2と敗れており、8強進出には2点差以上での勝利が必要となる。タイ人初のJリーガーは前日には日本の漫画をヒントにしたパフォーマンスも披露し、ゴール奪取に意欲を見せた。

 母国でパワーを注入した小柄な快速ドリブラーが、満を持して日本デビューだ。25日、札幌・宮の沢で全体練習を終えた札幌MFチャナティップは、いよいよ迎える日本での公式戦に「興奮している。良い結果を出せるよう頑張りたい」と意気込みを口にし、両手の人さし指と親指で四角形を作って見せた。タイ時代から得点した際に行ってきたゴールパフォーマンスは、実は日本生まれ。日本のサッカー漫画「ファンタジスタ」の主要キャラクターで、大好きなマルコ・クオーレをまねたものだ。

 アニメは「NARUTO」がお気に入りという日本通で、新天地での生活にもすっかりなじんできた。21日に選手登録され、晴れて同国初のJリーガーに。22日には古巣のタイ・プレミアリーグの強豪、ムアントンと、タイで親善試合を行い、23日夜に日本に戻ったばかり。さすがに疲労の色は隠せないが「元チームメートや家族と会えてうれしかったし、故郷へ帰って、また日本で仕事を頑張ろうという気持ちになれた」と、英気を養った。出番があるとすれば途中出場となりそうだが「あまり自分自身にプレッシャーをかけず、楽しくプレーしたい」と思い描く。

 ここまでの実戦練習では前よりの位置でプレーし、切れ味鋭いドリブルに加えて、視野の広いボール供給と、漫画の本家同様、小柄ながら独創的なプレーを見せた。入団会見で「一緒にやって欲しい」とサポーターにも呼びかけた、自慢のゴールパフォーマンスが見られるか。札幌サポーターだけでなく、Xデーに備えて日に日に増えるタイメディアも、その瞬間を待っている。【中島宙恵】

 ◆ファンタジスタ 草場道輝作品。週刊少年サンデー(小学館)で99~04年まで全222話連載される。単行本も全25巻発売。主人公の坂本轍平が高校サッカー、イタリア、五輪と、舞台を上げ活躍する姿が描かれた。マルコ・クオーレは続編として12~15年に同誌で連載された「ファンタジスタステラ」に登場。イタリアの天才FWとして、坂本の前に立ちはだかる。