【済州(韓国)14日=実藤健一】セレッソ大阪がMF水沼宏太(27)の劇的なロスタイム弾で済州を1-0で下し、アウェーで大きな勝ち点3を手にした。済州の激しい当たりに耐えた終了間際、途中出場のFW高木俊幸(26)のシュートのこぼれ球を水沼が押し込んだ。横浜との天皇杯決勝でも延長で決勝ゴールを決めており、またも殊勲弾。鹿島は1-1で引き分け、ACL初戦はJリーグ4クラブでC大阪が唯一の勝利を挙げた。

 後半ロスタイム2分。FW杉本が競り勝ったボールを高木がシュート。こぼれ球にGKとDFが混乱した隙に、登場したのが水沼だ。「(杉本)健勇とヤン・ドンヒョンで競り勝っていたので、後ろに走れば何か起こるかな、と。『きた!』と思ったけど冷静に決めることができた」。ベンチから飛び出した選手、スタッフに抱きしめられた。

 「厳しい戦いを予想していたが、本当に厳しかった。耐えて最後にゴール。この勝利は大きい」と尹晶煥監督は言った。立ち上がりこそ前線の連係で主導権を握ったが、徐々に荒々しさに押されていく。FW柿谷、DF松田がピッチに倒され、MF木本は負傷退場。それでもひるまず、最後まで立ち向かった。相手選手との小競り合いもあったMF清武は「気持ちのぶつかり合い。そこで負けたら終わり」と声を張った。

 それにしても水沼は「もっている」。元日の天皇杯決勝に続き、大きな勝利をもたらした。「あきらめずに戦うことができるチーム。勝ちきれるのが、自分たちの成長」。完全移籍し、タレント平田たかことの結婚で支える人もできた。この日はバレンタインデー。ゴールがプレゼントとなったことについては「よかったと思います」と照れた。