元日本代表で、1月に引退を表明した元J1ベガルタ仙台FW平山相太(32)が、仙台大・体育学科に合格したことが23日、分かった。長崎・国見高時代に全国高校選手権で2大会連続得点王となり「怪物」と呼ばれ、04年筑波大に進学。05年休学しオランダでプレーし、06年中退していた。22日の引退会見で、プロの指導者を目指し大学進学を表明した点取り屋は、現役最後の地で第2のサッカー人生を歩み出す。

 電撃合格だった。平山は21日に仙台大のAO入試を一般で受験しており、23日に合格の通知を受けた。引退を決意後、指導者を目指して、04年に筑波大に合格したとき以来の、大学進学の道を模索していた。その際、J1仙台関係者から仙台大を紹介された。教員免許取得のみならず、コーチング理論やスポーツ経営学、スポーツ心理学など、指導者に必要な分野を学べる環境に魅力を感じた。「ずっと東京にいたが、仙台に来て、人と人とのつながりでこのような選択肢ができた」と、合格を受けて関係者に感謝した。

 大学院進学も可能だったが、4年間の学生生活を選んだ。「サッカーしかしたことがない。人に考えを伝えて納得してもらう力、話し方を身に付けたかった」と理由を明かした。中高の教員免許取得と並行し、Jクラブの監督就任も目標のため、日本サッカー協会のライセンス取得も目指す。

 仙台大で、理想の指導者になる。22日の会見で、高校時代の恩師、小嶺忠敏・現長崎総合科学大付高監督(72)を目標の指導者として挙げた。「小嶺先生の教えとして、サッカーだけでなく、人としても成長しなければならない」と言う。仙台大OBの仙台MF奥埜やDF蜂須賀、同大学の吉井秀邦監督(44)と接して感じ取れた「サッカー以外もしっかりしていて、人として謙虚であいさつもできる」姿勢が師の教えと重なり、入学の大きな決め手となった。

 平山の入学を受け、仙台大・吉井監督は「(平山は)オランダでも指導を受けており、指導の知識はサッカー界でトップクラスだと思う。解説などの予定もあると思うが、サッカー部のコーチとして手伝って欲しい」と期待した。平山も「東北の中ではレベルがずば抜けている。Jリーガーになった選手も多い。コーチもできれば」と前向きだ。

 仙台では1度もピッチに立つことはかなわず「残念で悔しい思いでいっぱい」と会見で無念さをにじませた。しかし「ベガルタに戻ってくるかもしれない。どれだけ自分が成長できるか分からないけど、そうなれたらいい」と指導者として、仙台へ恩返しをする意思も示した。