鹿屋体育大から加入した湘南ベルマーレの大卒新人FW松田天馬(22)が、17年のJ1王者川崎フロンターレからJ初ゴールを決めた。

 松田は1点を追う後半21分、MF秋野央樹の左CKをDFアンドレ・バイアが頭で落としたところに飛び込み、右足で押し込んだ。「思い切りGKの前に入ったら可能性があると思った。正直、中に入るのは初めてなんですけど、こぼれて来いと思って入った。あとは押し込むだけ…あまり実感はないです」と笑った。

 164センチ、62キロと小柄だが、185センチの川崎FのMFエドゥアルド・ネット、183センチのDF谷口彰悟、180センチのDF奈良竜樹ら、大柄な川崎F守備陣に積極的に突っかけ、ボールを奪いにいった。「(川崎Fは)技術が高いと感じました。ボールが取れない時間帯が長かった」と口にするように川崎Fにボールを回されたが、小柄な体を逆に利して、大柄なDFの脇を突くなどして前に飛び出した。「最初、若干(雰囲気に)のまれて積極的にいけなかった。後半、曹監督から『ドンドン、仕掛けて良いよ』と言われ、周りが見えた」(松田)ことが初ゴールにつながった。

 大卒ルーキーだが、湘南がJ2で戦っていた17年、既に“デビュー”している。同年7月28日に湘南への新加入とJFA・Jリーグ特別指定選手への承認が決まったと発表されてから、わずか8日後の8月5日の松本山雅戦でJリーグ初出場初先発のピッチに立った。その後、第29回ユニバーシアード大会に出場する日本代表に選出され、3大会ぶりの優勝に貢献した。

 そして湘南に加入し、2月24日のV・ファーレン長崎戦で開幕スタメンを飾ると、前半8分に右サイドからパスを送り、Kリーグチャレンジ(2部)釜山アイパークから期限付き移籍した韓国代表FWイ・ジョンヒョプ(26)のJリーグ初ゴールをアシスト。開幕から2試合で、1ゴール1アシストと、早くも湘南の攻撃陣をけん引している。

 それでも、曹貴裁監督(49)は「試合中に波がある。大観衆に圧された部分もある。ただ、彼の良さは、自分の力でパフォーマンスを変えられるところ。ただ22歳は、どのチームでも主力になれる。攻守、どの場面でもリーダーシップを出して欲しい」と注文を付けた。

 松田は「去年とは比べものにならないくらい…少しずつですけど成長している実感はあります。でも、タメを作って攻撃を作っているかと言えば、そうじゃないし、もっとドリブルで仕掛けたり、チームを落ち着かせられたら、もっともっと上に行ける。もっと、声を出していかないといけない」と反省が口を突いて出た。【村上幸将】