J2松本山雅FCの反町康治監督(54)は、J1浦和レッズから先制点を奪いながら逆転負けし、「残念な結果になりました。ポジティブな目線で言えば、我々の残された大会は1つになったということ。そこに集中してやっていきたい」と、天皇杯3回戦敗退を悔やみつつも、首位を走るJ2に注力する考えを示した。

 この日は、7日のアルビレックス新潟戦から先発6人を入れ替えた。左サイドMFで先発した下川陽太に至っては、3月25日のレノファ山口FC戦以降、出番がなかったが、その下川が前半10分、MFセルジーニョが中央から出したパスを受けると、左サイドをえぐり低いクロスを送り、ニアサイドに入り込んだFW永井龍(27)が合わせて先制した。

 セットプレーから2失点したものの、守備は中盤からタイトで、シュート数こそ7対12と上回られたが、浦和に自由な攻撃を許さず、流れの中から決定的なシュートは、ほぼ打たせなかった。反町監督は「まぁ…そんなに流れの中で、やられる感じはしなかったんです…後半は。向こうがメンバーを変えたりして助かった面もある。阿部勇樹が入って局面で数的不利にさせられたところは、やはりさすがかな、という部分はありましたけど、最後の部分でしっかり対応できた」と振り返った。

 北信越1部リーグで戦っていた2009年10月11日に、同じ松本で天皇杯2回戦を戦い、浦和を2-0で破る大金星を挙げた。J1で戦った15年のリーグ戦は2戦全敗も、09年以来9年ぶりとなった天皇杯の戦いは、9年前の再現も起こりうるほどの、接近した戦いを演じた。

 それでも、反町監督は報道陣に向かって「ここ(会見場)に集まっている方は、J1とJ2の差…止める、蹴るの大切さは、見て分かったと思う。J2でほとんど、うちがヘディングで勝っているところも、ほとんど勝てなかった」と言い切った。そして「個の力(の差)と言ったら、それまでで終わってしまう。まだまだ上には上がいると感じた。でも我々は正面からぶつかっていき、最後の笛が終わるまで全力を出し切ったと思っていますし、それは後悔していません」と胸を張った。【村上幸将】