アルビレックス新潟は今季2度目の4連敗を喫した。第6節徳島ヴォルティス戦(3月25日)以来のホーム白星はまたも挙げられなかった。0-3で栃木SCに完敗。前半24分にセットプレー絡みで先制されると、後半3分に追加点、36分にPKでダメ押しを許した。7日に鈴木政一前監督(63)が解任され、片渕浩一郎ヘッドコーチ(43)が指揮を執ったが、ショック療法は効かなかった。

 監督解任の劇薬も勝利への特効薬にはならなかった。前半、後半と効果的に栃木に得点された新潟は、1点も返すことができなかった。

 先制点を奪われたのは今季最大の課題になっているセットプレーから。前半24分、コーナーキックのこぼれ球を栃木DFパウロン(28)に押し込まれた。後半3分には中央を突破され、最後はFW浜下瑛(23)にゴールを許した。後半36分にはFW大黒将志(38)にPKを決められた。

 新潟は後半9分、東京から移籍し初出場になるMF梶山陽平(32)とFW渡辺新太(23)を同時に投入するなど勝負に出た。後半33分には相手のハンドでPKを獲得したが、キッカーのDF安田理大(30)のキックは栃木GK竹重安希彦(30)に阻まれた。

 前日10日の練習を終え、片渕ヘッドコーチは言った。「サポーターの熱いパワーが必要。苦しいときこそ助け合えれば」。そのためにチームの戦う姿勢を整えた。鈴木前監督が去って、チームを仕切り始めた8日の練習から、選手には声をかけあうことを求め続けた。「声を出すことでコミュニケーションが取れ、一体感が生まれる」。プレーに対する指摘、ポジション間の確認を大切にした。

 1つになって戦わなければ、サポーターの後押しも生かせない。今季、連係不足で失点し、勝ち点を逃す試合を重ねてきた。技術、戦術の前にまず気持ちの立て直しを図った。

 ただ、そんな闘志が空回りした。カウンターを仕掛けてもラストパスがつながらない。クロスはクリアされる。チャンスらしいチャンスをつくれないまま時間が経過した。気持ちの勝負を挑んでも、ホームの白星は遠かった。【斎藤慎一郎】