名古屋グランパスDF中谷進之介(22)は、6月20日に退団した古巣柏レイソルとの初対決で、残留争いを制した試合後「いやぁ、もう…レイソルと正直、残留争いはしたくなかった」と複雑な心情を吐露した。

中谷は柏の下部組織に小学4年生から所属し、14年にトップに昇格してJ1で76試合に出場し2ゴールを記録していたが、成長するために名古屋への完全移籍を決断。5月20日に名古屋のホームで対戦した初戦では柏の控えメンバーだった。

この日、先発した中谷は、前半20分過ぎまで柏の攻勢を受けたものの、冷静に対処した。「熱くなりすぎても…イエローカードも3枚、たまっているから、そこも考えながらやりました」と振り返った。自身のプレーについては「俺、別に今日、何もしてないですよ。名古屋は前がうまいので、そこでかわせていた」と謙そんした。

試合前は「コーチとかとあいさつした時に、ちょっと泣きそうになっちゃいました」という。「それくらい、レイソルというクラブを名古屋に行ってからも応援しているし、大好きなクラブだなと思って…今日、ここに来てサッカーをすることが出来ました」と笑みを浮かべた。

試合中には、柏のケニア代表FWオルンガに厳しく当たった際、ブーイングを受けたという。「レイソルの応援歌を思い出しながらやっていて…別にアウェーという感じはなかった。でも、オルンガに当たった時にブーイングされて、これがアウェーだなと思いました。最後もブーイングされましたけど、僕なりのあいさつは出来たので…もう感謝しかないので、それだけです」とアウェーの洗礼にも感謝した。

ミックスゾーンで、報道陣に囲まれ、柏との対戦の印象を聞かれると、柏への思いが口を突いて出た。「順位は名古屋の方が上でも、レイソルには残って欲しいし、名古屋と(J1に)2つ残れれば…それが、僕の1番の願いです。俺が名古屋に移籍する時、ここでこんな感じで試合をするとは思わなかった。来年は高い位置でやりたいですね。まず残留してからですけど…しみじみしちゃうわ」と思いを吐露して、慣れ親しんだ三協F柏スタジアムを後にした。【村上幸将】