湘南ベルマーレMF梅崎司(31)は、17年まで10シーズン、浦和レッズの選手としてプレーした埼玉スタジアムのピッチで、湘南の一員としてキャプテンマークを巻いて初優勝を成し遂げたことに「こんなにうれしいことはない。格別です」と喜びをかみ締めた。

この日は、浦和のサポーターも応援に駆け付けていた。「今日も(ピッチを)回っている時に、レッズ時代の7番のユニホームを掲げている人がいた。本当にうれしかったですし、そういう人に、移籍した意味を見せないといけないと、あの時、誓ったところもありますし」。

梅崎が語る「あの時」とは、同じ埼玉スタジアムで浦和と初対戦し、湘南が1-0で21年ぶりに勝った4月28日の試合だ。梅崎はその試合で後半42分からピッチに立った。ピッチに入る時、曹貴裁監督(49)に「すみません、気を使ってもらって」と感謝すると、「そんな余裕、ねぇよ」と返された。そしてロスタイム4分間含め7分、ピッチ左半分を走り回り、かつての同僚にプレスをかけ続けた。試合後は自らピッチを1周して浦和サポーターの待つゴール裏に足を運んであいさつし、背番号7のユニホームを掲げるサポーターの姿と大歓声に涙した。

それから半年。梅崎は決勝までチーム最多の11試合に出場し、この日も先発し後半32分までプレーし、完全に湘南の主力となった。「あそこ(浦和戦)が本当に、自分の中できっかけだった。もっと自分自身を表現したかったですし、チームに貢献したいという思いが強くなった中、過程を踏んでここまで来られた。成長できた感覚があった」とかみ締めるように語った。そして「仲間に助けられた。自分のパフォーマンスには納得できない。交代の時には頼んだ、という思いだった。今日、個人的には見せられたかどうか分からないですけど、ベルマーレのチームとして躍動する姿を見せられた。カップを掲げることが出来て良かった」と笑みを浮かべた。

記者から、移籍して良かったかと聞かれると「サッカーを楽しくやれている時点で、移籍して良かったと思っていたし、タイトルも取ったら、より、その気持ちが増すんだろうなと思っていた。実現したので、来た意味を証明できて良かった」と口にした。そして「本当に一体感がすばらしいチーム。みんなの力で来られた。みんながいたからこそ、こうやって僕は楽しくサッカー出来ているし、少しずつ躍動できている。今日、その大きな一歩を踏めて、チームメートとともに、より良くしたい」と、湘南への愛を強調した。【村上幸将】