クラブ史上最多となる1万2612人の観客が見守ったSC相模原の鹿児島ユナイテッドFC戦は、相模原がFWガブリエルのPKでの1点を守り抜き勝利した。今シーズンで現役を引退する元日本代表GK川口能活(43)は、現役ラストマッチを完封勝利で飾った。

試合後は引退セレモニーが行われた。家族や両親、兄から花束を受け取ると、こらえていた涙があふれた。「キャプテン翼」の作者高橋陽一氏も、相模原のGKユニホームを着たイラストを持って駆けつけた。

さらには、ともに日本代表GKの座を争い一時代を築いてきた名古屋GK楢崎正剛もサプライズ登場。楢崎は「最後の最後まで、本当にかっこよかったです。リーグ戦では敵として、日本代表では味方として、ライバルと言われたけど、僕のほうが年下で追いかける立場なのに、そういう立場で一緒に戦えて、僕の財産になりました。ありがとう。そして、これからも日本サッカー、GKのために、頑張ってください。本当にお疲れさまでした」と盟友をねぎらった。

川口は「僕にとって楢崎正剛は特別な選手です。彼がいなかったら代表でプレーできなかったし、この年までサッカーを続けることはできませんでした。まだ、続けてください。僕の分も頑張ってください」と、楢崎に思いを託した。

以下、川口のあいさつ全文。

鹿児島ユナイテッドFCのみなさん、J2昇格おめでとうございます。年間を通して素晴らしい戦いを見せてくれたと思います。J2でも頑張ってください。

この光景がいまだに信じられません。今シーズン、僕にとって出場した試合、大量失点が続いていました。チームに迷惑をかけてばかりのスタートでした。まずお礼を言いたいのはそういった中、僕の後ろからのうるさいコーチングを常に理解し受け止めてくれた選手の皆さん。本当にありがとう。

子どもの頃からサッカーを始め、そのときご指導していただいた先生方、監督のみなさん。プロのサッカー選手として認めてくれた、横浜F・マリノス、FCポーツマス、FCノアシェラン、ジュビロ磐田、FC岐阜、SC相模原の関係者のみなさま、認めていただき本当にありがとうございました。

自分が日本サッカー界にどれだけ貢献できたかは分かりません。足を引っ張ったこともありました。ただ、最後の試合にこれだけ多くの方が関心を抱いてくださり、スタジアムに足を運んでくださいました。本当に感謝の気持ちしかありません。感謝の気持ちがありすぎて、何を言って良いのか分からないくらいです。

まだ余力はあります。この余力を別の立場で、日本のサッカー界の発展に貢献していきたいと思います。

(声を震わせて)最後になりますが、僕をサッカーができる、43歳までプレーできた体を授けてくれたお父さんお母さん、サッカーに出会わせてくれた兄ちゃん、そしていつもどんなときでも笑顔で応援してくれた佳苗、りり、そうた。本当にありがとう。