鹿島アントラーズDF昌子源(26)が、フランスリーグ1部トゥールーズへ完全移籍することが29日、クラブから正式に発表された。契約期間は3年半。現在は両クラブ間で基本合意に達している状態で、年明けに昌子が渡仏し、メディカルチェックなどを経て正式契約を結ぶという。今夏「日本人最高額」のオファーを断った男が、半年に及ぶ熱烈ラブコールに応え、いよいよ世界の舞台の扉を開ける。

「自信があって、強い気持ちを持って行くので」。ようやく実現した移籍に、昌子は飾らない言葉で覚悟を語った。選んだのは、アフリカ系選手の多いフランスリーグ。「(W杯ロシア大会で)セネガルのFWニヤンとやったときに、この選手はやばいと思った。毎週そういう選手とできる」と、厳しい環境に飛び込み成長するつもりだ。「日本人センターバックは、なかなか海外で成功しないと言われる。僕は182センチと世界では小柄だけど、そういう選手でもできれば、アジア人としても誇らしいこと。そうなれるよう、鹿島で習ったことをすべてぶつけたい」と語気を強めた。

トゥールーズが評価したのは、昌子の精神力。ワールドカップ(W杯)ロシア大会を見て「W杯を経験したことのない、Jリーグでやっている選手がここまで堂々と世界と渡り合える、そのメンタリティーは並大抵じゃない」と獲得を決めたという。直後にはかなわなかったが、早い段階から今冬の移籍を打診。何としても獲得したいと思わせる逸材だった。

それでも昌子は悩んだ。残るべきか、行くべきか-。背中を押したのは、MF小笠原の言葉だった。1度オファーを蹴ってクラブに残留し、悲願のACL初制覇に貢献。鹿島との契約が残っていたため移籍金としてクラブにお金も残すなど、恩を返してから出て行く姿勢を褒められたという。

「小笠原キャプテンの『自分で勝ち取ったオファーだろ。誰が何と言おうと、行きたいなら行け』というのが自分の中ですごく響いた。挑戦して、サッカー選手だけでなく人としても成長したい」

早ければ、来月12日にGK川島が所属するストラスブールとの試合でデビューとなる。8年間育ててくれたクラブや先輩に成長した姿を見せるためにも、フランスで飛躍するつもりだ。【杉山理紗】

◆昌子源(しょうじ・げん)1992年(平4)12月11日、神戸市生まれ。フレスカ神戸U-12-ガンバ大阪ジュニアユース-鳥取・米子北-鹿島。DFでJ1通算157試合8得点。16、17年Jリーグベストイレブン。日本代表15試合1得点。182センチ、74キロ。