リーグ連覇中の川崎フロンターレが、新加入のブラジル人FWレアンドロ・ダミアン(29)の一発で浦和を1-0で下し、初優勝を果たした。

新助っ人を前線に配置することで高さが加わり、開始直後から「地上戦」ではなく「空中戦」のパスを多用。昨季までとは違う攻撃パターンを発揮し、進化を見せつけた。天皇杯、ルヴァン杯を含め、カップ戦は初戴冠。常勝軍団への階段をまた1段、上がった。

身長188センチのレアンドロ・ダミアンが川崎Fの攻撃を進化させた。新助っ人が1トップに入り、2列目には左MFに家長、トップ下にMF中村、右MFに小林とJリーグのMVP獲得者が並ぶ豪華布陣。開始47秒で中村が浮き球パスをレアンドロ・ダミアンに送った。これまでグラウンダーのパス回しが主体の川崎Fが、新攻撃を見せつけた瞬間だった。

後半7分。レアンドロ・ダミアンがロングボールを頭で落とし、ゴール前の混戦からこぼれ球に反応した。左足を一閃(いっせん)して先制。高さから生まれた決勝点だった。得点後、小林と大好きな漫画「ドラゴンボール」のキャラクターが行う合体技フュージョンのパフォーマンスを披露し「自分のところに転がってきてうまく決めることができた。すごくうれしい」。

昨季、J1連覇を達成も「勝てば優勝」の一発勝負は結果を残せなかった。カップ戦はこれまで6度決勝に進出し、すべて準優勝。試合前、鬼木監督は「この先何カ月後に、タイトルのかかった試合が必ず来る。そのための準備。こういう大一番を勝っていく力を付けないといけない」と説いた。指揮官の期待に応えて、7度目の挑戦でカップ戦のシルバーコレクターを返上。小林は「昨年優勝したチームのプライドを見せられたかな」と胸を張り、MF中村も「自分たちがこの試合を取ると開始早々から表現できた」と手応えを口にした。

レアンドロ・ダミアンは守備でも奮闘し、小林は「あんなにスケールの大きい選手だと正直、思わなかった。右で僕が持ったときも、中を見るとダミアンがいて、上げたら入りそうな感覚があった。新しい攻撃パターンが増えた」と振り返った。最前線に高さと強さが加わった川崎Fが、シーズン初戦で「タイトル」を獲得し4冠へ向かって勢いをつけた。【岩田千代巳】

 

◆レアンドロ・ダミアン 1989年(平元)7月22日、ブラジル・パラナ州生まれ。ポジションはFW。11年3月にブラジル代表に初選出され17試合3得点。12年ロンドン五輪では6ゴールで得点王に輝き、チームが銀メダルを獲得。サントスやフラメンゴなどブラジルの強豪を渡り歩き、今季インテルナシオナルから加入。188センチ、90キロ。家族は妻と1男1女。