前回大会王者の浦和レッズ(J1)が、初戦で流通経大(茨城県代表)に大苦戦した。後半29分にMFエヴェルトン(26)が決勝弾を頭で奪ったが、90分間のうち60分近くは同スコアで推移する難しいゲームとなった。

前半は1-1。2分にDF鈴木大輔(29)が右CKから難なく先制ヘッドを決めたものの、19分に追いつかれた。流通経大MF菊地泰智(20)に、角度のない左のゴールライン際から豪快な左足シュートをぶち込まれて同点。今季公式戦初先発に燃えるGK福島にとっては、ノーチャンスの力強い弾道でゴール上段を射抜かれた。

GK西川、DF槙野、FW興梠ら主力をベンチ外とし、6月30日のリーグ大分トリニータ戦(0-2)から先発8人を変更。フィールドプレーヤーは岩武、森脇、岩波、阿部、鈴木、茂木のDF登録6人が名を連ね、MFは山田と柴戸、FWは汰木(ゆるき)とナバウトが2トップを組んだ。結果は出ず、1-1のまま前半が終わると、会場の駒場スタジアムはブーイングに包まれた。

新国立競技場で行われる決勝での2連覇へ、負けられない後半。開始と同時に大槻監督はナバウトに代えてFW杉本を送り込んだ。7分にチャンス。岩波のロングパスで抜けた汰木がGKと1対1になったが、選択したループシュートは枠の上に外れた。13分にはその杉本が最終ラインを破ったが、右足で放ったグラウンダーのシュートは左の枠外に消えた。反対に9分、流通経大DF佐々木に打たれる。ゴール右にわずかに外れたが、肝を冷やした。

後半も大学生を相手に一進一退の展開となったが、後半29分にようやく勝ち越した。大槻監督から15分に送り込まれていたエヴェルトンが、汰木の左クロスを頭で押し込んで2-1とした。延長戦突入も頭にちらついた残り15分でリードを奪ったが、追加点はなし。18年度の覇者が、難しい初戦を苦しみながら90分間で突破した。

試合後はV弾のエヴェルトンがヒーローインタビュー。6691人を前に「トーナメントが難しいことは最初から分かっていた。その中でゴールを決めて、次のラウンドに進むことができてうれしい。(汰木)康也が素晴らしい突破から、いいクロスを上げてくれた」と仲間をたたえた。