新潟は0-1で金沢に敗れた。リーグ戦の前節鹿児島戦からスタメン全員を入れ替えた。今季公式戦初スタメンのMFチョ・ヨンチョル(30)ら出場機会に飢えていたメンバーが気持ちを見せたが、後半14分に奪われた1点を返すことができず、97年以来の2回戦敗退になった。

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1点が遠かった。後半14分、金沢のFW杉浦恭平(30)にクロスを中央から決められた。このゴールがすべてだった。惜敗の中、出場機会に恵まれてこなかったメンバーは奮闘したが及ばなかった。

「僕はいつでも『やってやる』という気持ちでいる」。今季公式戦初スタメンでフル出場したチョ・ヨンチョルは、抱えている思いを形にした。リーグ戦前節鹿児島戦(6月29日)で後半途中出場し、シュートも1本放っている。調子はいい。2日、チョのインスタグラムに夫人を誹謗(ひぼう)中傷する書き込みなどがあったことが明らかになった。心無い所業にも動揺を見せず、勇敢にピッチに立った。

チョだけではない。チーム全体の闘争意欲が高かった。GK田口潤人(22)は昨年5月16日のルヴァン杯横浜戦以来、413日ぶりの出場。MF田中達也(36)はリーグ戦第9節山形戦(4月13日)以来、腰痛が癒えたMF小川佳純(34)はリーグ戦愛媛戦(5月14日)以来と、両ベテランは久々のスタメンでピッチに立った。

絶好のアピールのチャンスだった。金沢にはアウェーのリーグ戦(6月22日)で1-2で敗れている。リーグ戦出場組の借りを返すことは、自分たちの底力を示すことにもなる。「ここからさらに競争が厳しくなっていかないと、チーム力が上がらない」。吉永一明監督(51)も期待をかけて送り出した。

前半から押し込まれながらも耐えた。後半はサイドからチャンスもつくった。それでもゴールネットを揺らせずに終えた。【斎藤慎一郎】