迷いはなかった。前半19分、浦和レッズFWファブリシオ(29)は左サイドのペナルティーエリア外でMF関根のパスを受けた。ゴールまで、距離はある。だが、視界はしっかりと枠内だけをとらえていた。思い切り振り抜かれた右足から放たれたボールは、美しく力強い弾道でゴール右上へ。ホームの大歓声を一身に浴びたファブリシオは「非常にうれしかった。久しぶりにあのようなゴールを決められて、自分も泣きそうになった」とほおを緩めた。

日々の積み重ねが実った。ホームでは7月6日の仙台戦以来、勝利に見放されていた。そんな中でも「毎日ああいうゴールを決めるために一生懸命練習してきた」と努力を続けてきた。「毎試合力強く応援してくれるサポーターのためにも頑張ろうと思っていた」。3万人を超える観衆の中で決めた、暗雲を振り払う先制ミドル弾。やってきたことに、間違いはなかった。

23日の次戦はアウェーでの戦いとなる。1点差負けはもちろん、1点以上取れば2点差負けでも決勝進出が決まるが「広州恒大のような質の高いチームとの戦いは、次も今日と同じ気持ちで球際の質を力強くいかないといけない。まだ半分終わったばかり。アウェーでは相手も全てを懸けてくる。このアドバンテージを生かしながらリカバリーして挑みたい」と引き締めた。