リーグ2連覇中の川崎フロンターレが北海道コンサドーレ札幌をPK戦の末に下し、5度目の決勝挑戦で初優勝を手にした。

苦しみぬいてつかんだ。2-1で迎えた後半ロスタイム。ラストの1プレーで失点し、延長戦に持ち込まれた。延長ではDF谷口彰悟がレッドカードで退場。相手に直接フリーキックを決められ逆転された。絶体絶命ので10人での戦いになったが、エースで主将のFW小林悠が起死回生の同点弾。PK戦では、守護神のGK新井章太が最後の2人を連続して止め、念願の初優勝を果たした。

クラブの新歴史の扉がまた開いた。「一発勝負に弱い」と言われた姿と決別するときがきた。今年のルヴァン杯のプライムステージでは「したたかさ」が際立った。リーグ戦を含め中2日、中3日の過密日程。準々決勝の名古屋との第1戦は、前線にリーグ戦とは異なるメンバーが名を連ねた。8月に0-3の完敗を喫していた相手だったが、立ち上がりから相手のハイラインの裏を突くロングボールで名古屋を揺さぶった。監督の指示ではなく、先発11人が目をそろえ「相手の嫌なところ」を徹底的に突いた。FW知念慶、レアンドロ・ダミアンの得点で快勝し、そこから快進撃がスタートした。MF長谷川竜也は「総力戦という意味では、名古屋との第1戦は、メンバーを変えた中、自分たちのやるべきことを理解して、なおかつ点を取って勝てたというのがすごく大きかった」と振り返る。

鹿島との準決勝第1戦では、今季初の逆転勝利で先勝。アウェーでの第2戦では、攻撃スタイルを貫きながらも、失点しない戦い方を敢行した。0-0の終盤は高い位置でボールをキープ。引き分けだったが相手のシュートを3本に抑え、我慢強い戦いで決勝進出を決めた。リーグ戦は夏に6戦未勝利と長いトンネルを経験したが、ルヴァン杯ではそのモヤモヤを払拭(ふっしょく)する内容で強さを発揮した。

今回の決勝は、最後のゲームの閉め方で自らの首を絞めた。だが、粘り強くあきらめない姿勢を最後まで貫いた。小林は「PKになっても、何でもいいから勝ちたい」と戦前からカップ戦タイトルへの執着心を口にしていた。MF中村憲剛は言う。「毎年、何か1つタイトルをとることが大事。それが日常になっていくことが、真の強豪チームだと思う」。川崎Fが、常勝軍団への階段を、また1つ上った。