矢板中央(栃木)が四日市中央工(三重)に2-0で勝ち、2大会ぶり3度目の4強進出を果たした。2年生FW多田圭佑が2得点と大活躍。日本サッカー界を代表するビッグネーム「本田圭佑」と名前が1文字違いの点取り屋が“本家”さながらの存在感を見せつけた。

連覇を狙う青森山田、帝京長岡(新潟)、静岡学園も勝ち上がった。準決勝は青森山田-帝京長岡、静岡学園-矢板中央で、11日に埼玉スタジアムで行われる。

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試合を決めたのは“ケイスケ”だった。まずは前半12分、大きなサイドチェンジで相手を揺さぶり、右から上げられたクロスに反応。DFラインの合間を突いて抜け出すと、太ももでの巧みなトラップから浮いたボールを豪快に蹴りこんだ。続く20分には一瞬の隙を突いて敵陣内で相手DFのパスをカット。そのまま50メートル5秒9の快足を飛ばしてゴール前へボールを運び、冷静に流し込んだ。

多田の活躍で序盤にリードを奪うと、その後は落ち着いた試合運びで2戦連続の完封勝利。13年度の全国初戦で2-3で敗れた相手に雪辱を果たし、2大会ぶりの4強進出を決めた。多田は「自分が決めて、3年生ともっとサッカーをやりたかった。今日は楽しめました」と笑顔をみせた。

誰もが知る選手になる。自身の名前は父博行さん(46)が「響きが良くて、画数も合っていた」と名付けた。地元の少年団でサッカーに励んでいた頃、日本代表で自分と1文字違いの本田圭佑が頭角を現し、スターダムを駆け上がっていることに気づいた。「名前は気に入っています。本田選手とスタイルは違うけど、自分も有名になりたい」。小学校卒業後は地元中学の部活動でプレーするなどエリート街道ではない。それでも「家にいると甘えてしまうと思った」。大阪から石川・星稜へ進学した本田と同じように、地元を離れて矢板中央へ進学。ひたむきに練習に励み、2年生ながらチームの最前線を任されるまでになった。

全国選手権の4強進出は、本田も3年時に到達した場所だ。ここからは矢板中央がまだ見たことのない決勝という舞台に挑む。「緊張すると思うけど、次も勝って優勝を狙いたい」。この日の2発で今大会3得点とし、得点王も射程圏内。覚醒中のケイスケ・タダが、矢板中央躍進の立役者となりそうだ。【松尾幸之介】

◆多田圭佑(ただ・けいすけ)2002年(平14)9月27日、茨城県日立市生まれ。坂本SSS、坂本中サッカー部から矢板中央へ。好きな選手は川崎FのFW小林悠。174センチ、67キロ。