「国難」に立ち向かうべくプロ野球とJリーグが手を組んだ。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、日本野球機構(NPB)とJリーグは2日に都内で合同会見を開き「新型コロナウイルス対策連絡会議」の設立を発表した。

3日に第1回の会議を開催。3人の専門家を交え情報や対策を共有し、中旬に意見書にまとめる予定。NPBは20日の開幕、Jリーグは18日のリーグ戦再開へ向けた判断の一助とする。日本の2大スポーツといえる野球とサッカーの異例タッグで、スポーツ界の対応の礎を築く。

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NPBとJリーグのロゴが並んだ珍しいボードの前に、おのおののトップが緊張の面持ちで腰を降ろした。斉藤惇コミッショナー(80)と村井満チェアマン(60)が「国難」と表した新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐべく、共同で対策会議を設立。トップ2人と、3人の専門家に12球団代表者、Jリーグの理事会メンバーらが出席し、早速3日に第1回の会議を実施することを決めた。

異例のタッグ結成は、Jリーグ側から持ちかけた。2月25日に15日までの公式戦94試合の延期を決定した際、NPBに連絡。そこで今後の連携を提案した。村井氏は「感染症に関しては、競技団体ごとに正解があるわけではなく1つの対処策だろうということ」と説明。斉藤氏も「状況がすごく変わって、政府が何か言ってからではなく、我々主催者自身が主体的に決めていきたい。村井さんとそういう気持ちになって、やりましょうと」と賛同。トップ同士の責任感が、競技の垣根を越えた会議設立を実現させた。

2月26日の12球団代表者会議で全72試合のオープン戦、春季教育リーグ、練習試合の無観客を決めたNPBは20日の開幕へ。Jリーグは18日の公式戦再開へ。それぞれ決断のための判断材料として、専門家も含めた会議を重ねる。

加えて、目的がもう1つある。斉藤氏が「影響は他のスポーツに相当出てくると思う。積極的に共有していきたい」と言えば、村井氏も「我々2者のためのものではない」。オブザーバーとして他競技関係者の参加を受け入れるほか、会議内容は即公開する。イベント開催の是非に悩む日本スポーツ界にとって、判断基準の1つになればとの願いがある。球場に、スタジアムに、いつもの歓声を取り戻すために。両者が手を取りあい、見えざる強敵に立ち向かう。【浜本卓也】