J1は4日、新型コロナウイルスの影響による中断が明け、2月23日の第1節以来、132日ぶりに再開する。昨季MVP&得点王をダブル受賞して横浜のJ1制覇に貢献したFW仲川輝人(27)は3日、横浜市内で敵地での浦和戦へ向けて調整。サッカーができる喜びを胸に、さらなる飛躍を期し、レジェンドたちが名を連ねてきたJリーグの「顔」としての自覚をにじませた。

   ◇   ◇   ◇

約4カ月半、待ち続けた。練習を終えてウェブ取材に応じた仲川は浦和戦へ向け「楽しみですし、明日が待ち切れないという気持ちでいっぱいです」。画面越しでも十分わかる、凜(りん)とした表情で答えた。

この日行った各位置に就いて行う攻撃練習では主力組とみられる11人の右ウイングに入った。昨季、名を上げた定位置。休止期間中にいじめ抜いた血管の浮き出た足で鋭いシュートを何本も放った。6月1日の全体練習再開以降、4度行ったJクラブとの練習試合でチームは全勝。「状態はいい。(無観客で)声は通るし、ピッチ内の問題もすぐに話して解決できる。そうした部分も優位に持っていければ」と初の無観客試合もプラスに変える。

Jリーグを背負う覚悟も日増しに強まっている。5月29日にJ1再開日が決まった際はリーグを代表してコメントを発表。再開を盛り上げる1日のリモートカンファレンスにもクラブを代表して出席した。かつては三浦知良、横浜では中村俊輔や中沢佑二が受賞してきたリーグMVPとしての責務は明らかに増えた。「得意とは言えない」と漏らす役回り。「今までこうしたこともなかったし、責任感は増してきた。Jを代表する選手としてかがみにならなきゃいけないというプレッシャーを自分にかけているのは確か」。人知れず気を引き締めて過ごした4カ月半でもあった。

東京を中心に感染者が再び増加傾向にあり、不安の残る中での再開でもある。「得点など自分の特徴をみなさんに見せられるのが一番だと思う。価値ある姿をみせたい」。1人のプロ選手として、サッカーの持つ力をピッチで示す。【松尾幸之介】