Jリーグから初のクラスター（感染者集団）発生の可能性が出てきた。サガン鳥栖金明輝（キム・ミョンヒ）監督（39）の新型コロナウイルスの感染判明から一夜明けた12日、クラブは新たに選手とスタッフの計2人に陽性判定が出たと発表。さらに7人に陽性の疑いがあり、最大で10人に感染の可能性がある。クラスターか否かは保健所の判断待ちで、同日開催予定のルヴァン杯広島－鳥栖（Eスタ）は中止となり、今後の公式戦開催へ不安を残した。

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ルヴァン杯広島－鳥栖の中止決定を受けて、Jリーグと両クラブがオンラインで開いた合同会見で、Jリーグ村井満チェアマン（61）から、鳥栖における想像以上の感染拡大の状況が報告された。

「本日新たに2人、選手及び関係者の陽性判定者が出た。その他に最大7人の陽性の疑いがある。可能性としては9人の陽性の可能性がある」

前日11日にJリーグの監督では初めての感染が判明した鳥栖金監督に、この日分かった陽性者2人は、11日に発熱があり、抗原検査を受けていた。選手1人は一時37度1分の熱があり、スタッフ1人は平熱に戻ったという。陽性の疑いのある7人は全員無症状。感染者の可能性は最大で10人になる。一方で金監督の濃厚接触者3人はこの日、陰性の判定を受けた。

Jリーグでは名古屋が計6人の感染者を出したが時期は6、7月に分かれ、感染経路も別々で、うち1人は選手寮スタッフだった。今回はJリーグからは初めてのクラスター発生の可能性がある。

「最大3＋7人、2桁の可能性もある感染状況は今までにない。クラスターになるかの判断も、保健所に従って対応していくことになる」と同チェアマン。

金監督のクラブへの体調不良の報告が遅くなったという見方もあるが、Jリーグの藤村昇司特命担当部長（57）は「体の不具合がどのレベルであったら、自主隔離に結びつけるかの判断など本質的に難しい問題」と頭を抱えた。

鳥栖の竹原稔社長（59）は「保健所の検証も確認しながら、Jリーグにフィードバックし（今やるべきことは）100％起こさないようにすることだと思っている」。仮に鳥栖から最大10人の感染者が出れば、チーム運営の根幹を揺るがす事態になりかねない。「今後の日程も再考の可能性があると、鳥栖もJリーグも認識しているが行政当局の指示に従う」。村井チェアマンが、苦しい胸の内を明かした。【横田和幸】